半世紀にわたる年齢階層別の喫煙率動向を確認する
JTでは1965年以降毎年全国のたばこ喫煙者に係わる調査を行い、各種喫煙率のデータを取得蓄積している。その値を用い、半世紀以上に渡る日本の喫煙率の動向を確認していく。
2016年7月28日に、2016年分となる「全国たばこ喫煙者率調査」がJTから発表されたが、それによると2016年の全体的な喫煙率は19.3%、男性は記録の上では初の3割未満となった。
この最新の調査結果も合わせ、中長期的な動向を見たのが次のグラフ。
・男性は減少傾向。特に50歳以降の高齢者、また最近では20代の若年の喫煙率減少が著しい。
・女性は1980年前後を境に「高齢層>若年層」から「高齢層<若年層」に。
・女性は高齢者の喫煙率は減少傾向にあるが、50歳以下、特に20代から30代の喫煙率が前世紀末では上昇していた。中でも20代はこの40年で喫煙率が2倍増になった。
・今世紀に入ってからは女性で「若年層…横ばいか減少」「中堅から高齢層…横ばいか微増」となり、前世紀末期とは逆の動きを示している。中でも20代は減少を続けている。
これらの傾向に加え、上記グラフでは分かりにくい部分もあるが、ここ数年に限ると、男女ともに若年層の喫煙率の減退と、特に女性における中堅層以降の足踏み感、むしろ上昇の気配が見受けられる。単年ならばイレギュラーと解釈することもできるのだが、女性は40代以降で4、5年に渡る横ばい感、50代ではさらに上昇機運が確認できる。今件は喫煙者数ではなく喫煙率であり、高齢層人口の増加との直接的な関連性は無いが、注視すべき動きには違いない。
女性で若年層にあたる20代、30代はともかくも40代以上で喫煙率の減少に足踏み感、さらには反動の兆しが見えるのには大いに留意が必要。人口比では高齢層の方が多い以上、その層で喫煙率が減少しなければ、今後全体の喫煙率も横ばい、さらには上昇を示す可能性が出てくる。今回2016年で女性全体では前年比でわずかながら上昇したのも、極論としては中堅層以降の上昇ぶりが起因となっている。
中堅層以降の喫煙率の減退が下限に達した可能性もあわせ、今後とも注意深く動向を見守りたい。
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