あの商業ビルに隠れ神社!?川崎駅前にある2つの「ビル神社」と、共通する意外なルーツとは
ビルの屋上にポツンとある小さな神社。たまに見かけるとワクワクしますよね。家族連れや学生で賑わう店舗エリアとは分断された雰囲気があって、背筋が伸びるような緊張感を感じます。
そんな「ビル神社」、川崎駅前に2つもあるって知っていましたか?両方とも抜群のアクセスで、一般人でも気軽に参拝できるらしいのです。行ってみましょう。
ラゾーナ川崎プラザ内「ラゾーナ出雲神社」
川崎駅を代表するショッピングモール「ラゾーナ川崎プラザ」のなかに神社があるらしいです。ラゾーナなんて、何度も行ったことのある施設です。川崎近辺に住んでいなくても、遊びにきたことがある人は多いのではないでしょうか。そんな場所に、まさか神社があるなんてまったく認識していませんでした……。
平日とは思えないほど賑わう店舗群を横目に、4階まで来てみました。
フロアマップを見てみましょう。
ある!!!!
想像以上に堂々と鳥居のマークが描かれていました。
さっそく神社へ向かいましょう。
あっという間に到着しました、こちらが「ラゾーナ出雲神社」です。お参りのうえ、観察させてもらいましょう。
そして、この神社の背後にそびえているのが……
「東芝」のビルです。この東芝こそが、ラゾーナ出雲神社がここにある所以なんです。
実はラゾーナという施設は、東芝(の前身である東京電気)の工場跡地にできた施設です。もともとその工場を護ってきたのが、この出雲神社だったんだそうです。工場跡地は巨大ショッピングモールへと大きく姿を変えましたが、出雲神社はいまも変わらず、この土地を見守っています。
それにしても、こんなにすぐそばに「古巣」の東芝ビルがあるなんて……出雲神社の神様も、きっと寂しい思いをしていないことでしょう。
川崎ルフロン内「留富崙稲荷神社」
さて、大混雑のラゾーナを抜け出し、駅の反対側の出口にやってきました。
川崎駅東口の駅前にある大きな吹き抜けが特徴的なビルが「川崎ルフロン」です。
ここにも神社があるんだとか。フロアマップで探してみます。
……ない!?初見で来た人は絶対にたどり着けなそうです。
まあ、こういう「ビル神社」はだいだい屋上にあるものです! 信じて向かってみましょう!
屋上に到着! どうやら間違っていなかったようです。
記載の通り、屋上にはフットサル場と神社しかないみたいです。「のんびりテイクアウトしたお弁当でランチ♪」とかはできませんので、お気を付けください。
あれ……右も左もフットサル場です。神社はどこに……?
あった~~~~!!!
フットサル場を通り過ぎた先に、横向きでありました。
周りにはビルの空調設備のような機械がたくさんあって、ごうごうと空気の音が聞こえています。騒がしいような、でも人っ子一人いないので静かなような……ラゾーナ出雲神社とはまた違うひっそり感がありました。
扁額に書いてあるのは……ル、留、留富崙稲荷!?
確かにこれは「ルフロン」と読める……!
留める富の崙(山の名前で使われるらしい漢字)……これは縁起がよさそうな当て字すぎますね。素晴らしい。
正面からも見てみましょう。
こちらも由緒を確認。この神社は「東京製線株式会社」の守護神だったようです。ルフロンができる前この場所は工場で、そのなかにあった神社だったそう。再開発で工場がルフロンに変わったときに、ここに移されたとのことでした。
……あれ、どこかで聞いたような。ラゾーナ出雲神社と同じ、元工場内の神社だ!
ビル神社をたどれば、川崎の再開発の歴史が見えた
訪問する前は、たまたまビル神社が川崎駅前に2つあるだけだと思っていたのですが、現地で由緒を確認してみると、思わぬ共通点に気づくことができました。
川崎駅前は大きな工場が立ち並ぶ地帯で、駅前の商業ビル群はそれを再開発してできたものだったんですね。各工場を護ってきた神社は、それぞれの商業ビルの屋上に移されました。
川崎駅の西口と東口を代表するような大きな商業ビルが、いまでも過去のルーツと守護神を大切にしているというのは、なんだか温かい気持ちになりますね。ほかのエリアのビル神社も見に行きたくなりました。意外な発見ができるかもしれません。
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