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TikTok大賞にメタバース降臨。30周年を超えて輝く広瀬香美の凄さ

徳力基彦noteプロデューサー/ブロガー
(出典:広瀬香美【STAFF】ツイッターアカウント)

広瀬香美さんが7月22日にデビュー30周年を迎えられましたが、最近TikTokで再ブームになっているのをご存じでしょうか?

広瀬香美さんといえば、「ロマンスの神様」「promise」や「ゲレンデがとけるほど恋したい」など数々のヒット曲で知られ、「冬の女王」としても知られるシンガーソングライターですが、実はツイッターやYouTubeなどのSNSも積極的に活用していることで有名です。

YouTubeで30周年記念ライブを配信

30周年当日となる7月22日の夜には、広瀬香美30周年生誕祭として「第1回KohmiFes」と名付けたYouTubeライブを開催。

なんと夜の18時から23時近くまでかけて、ファンが選ぶ30曲を歌いつづけるという企画を実施していました。

ファン投票の1位は当然のように「ロマンスの神様」でしたが、2位に「ブランケットプリーズ」というファンならではの選曲がランクイン。

さらには「ロマンスの神様」のサビでは、コーラス部分の「ボーイミーツガール」や「フォールインラブ」を視聴者がコメント欄に投稿して、滝のようにコメント欄が流れるという、YouTubeならではのライブになっていました。

2022年上半期のTikTokトレンド大賞に

そんな広瀬香美さんですが、なんといっても直近の最大の話題は、リリースから28年の時を超えて「ロマンスの神様」が、2022年上半期のTikTokトレンド大賞に選ばれたことでしょう。

これは、TikTokerのタイガさんが振り付けをした「ロマンスの神様」の動画がきっかけで火がついたものだそうで、なんと楽曲を使用した関連動画の総再生数は16億回を超えているんだそうです。

参考:「ロマンスの神様」がTikTok上半期トレンド大賞 広瀬香美「大切に歌い続けてきてよかった」

こうした「ロマンスの神様」のリバイバルヒット機運は、TikTokから様々なプラットフォームにも伝播。

6月末にはツイッター上で、「ロマンスの神様」を元にVRChatのアバターでフェイスダンスをする動画が話題になり、140万を超える再生数となっています。

このように「ロマンスの神様」が改めて注目されるのには、楽曲自体が持っている普遍的な魅力が起点となっているのは間違いありません。

ただ、それがここまで大きな話題になるのは、楽曲の力だけでなく間違いなく広瀬香美さん自らの行動力が影響しています。

自分でもすぐに踊ってみた動画をアップ

例えば広瀬香美さんは、TikTokのタイガさんの振り付け動画が話題になっていると聞いて、最初は信じられなかったという逸話を披露されています。

ところが、自分の目でTikTokの振り付け動画を見た「次の日」には、自分のTikTokのアカウントに踊ってみた動画をアップされているのです。

(出典:広瀬香美 Official TikTokアカウント)
(出典:広瀬香美 Official TikTokアカウント)

広瀬香美さん本人の踊ってみた動画を見て、タイガさんも当然喜びのコメントをつけていますし、周辺のTikTokユーザーがおおいに盛り上がったのは間違いありません。

現在TikTokには、「ロマンスの神様」の曲を使った動画が7万本以上アップされていますが、広瀬香美さん本人が積極的に参加したことが、このムーブメントに大きく影響したのは間違いないでしょう。

参考:広瀬香美が製作したRomance no Kamisama

VRChatの話題にも即日反応

前述のツイッターでバズったフェイスダンスも、ブロガーのコグレマサトさんが記事にしたことで、広瀬香美さんが早速反応。

その動画を認識した当日に、この動画が作成されたVRChatの世界に参加するために、VRゴーグルの「Meta Quest 2」を速攻で購入するというスピード対応を見せているのです。

参考:広瀬香美も思わず反応、VRChatで撮影された「ロマンスの神様」フェイスダンス動画が大ヒット

すでにVRChat用のアバターも発注されたとのことで、アバターで音楽フェス参加も目指されているようですから、広瀬香美さんのアバターがメタバース空間でライブをする日も近そうです。

実は日本のツイッターブームの火付け役

実はSNSの歴史をさかのぼると、広瀬香美さんは2009年にツイッターを開始し、ツイッターを「ヒウィッヒヒー」と命名して話題になるなど、日本のツイッターブームの火付け役になったことでも有名です。

参考:広瀬香美さん「Twitterはヒウィッヒヒー」 一夜で流行語に

この時も、友人の勝間和代さんに誘われて、右も左も分からない中、果敢にツイッターに挑戦する姿が非常に印象的でしたが、その結果「ビバヒウィッヒヒー」という曲まで作曲。

最終的に「ビバクリスマス」という歌が誕生することになります。

30周年記念ライブの中でも、ツイッターには誹謗中傷もあるけど、やっぱりファンの方々とコミュニケーションができるのが好き、とお話しされていたのが印象的でした。

全てはファンとの交流のために

広瀬香美さんのYouTubeアカウントでも、様々なファンへのサプライズ企画が実施されているのが印象的です。

広瀬香美さんにとっては、TikTokだろうがメタバースだろうがTwitterだろうが、ファンの方が喜んでくれるのであれば、とにかく試してみるというのが基本スタンスなのかもしれません。

実は筆者も、過去に広瀬香美さんに自分が主催するスタートアップのプレゼンイベントに登壇頂いたことがありますが、その際もファンの方と積極的にコミュニケーションを取られている姿がとても印象に残っています。

今回28年の時を超えて、「ロマンスの神様」がTikTokで大ヒットしているのは、決してたまたまではなく、広瀬香美さんのファンとのコミュニケーションを大事にし、とにかく何にでも挑戦してみる姿勢が影響しているのは間違いありません。

それこそが、広瀬香美さんの凄さの1つということが言えるように思います。

これからも広瀬香美さんが、新しいSNSやプラットフォームで活躍するのを楽しみにウォッチしていきたいと思います。

noteプロデューサー/ブロガー

Yahoo!ニュースでは、日本の「エンタメ」の未来や世界展開を応援すべく、エンタメのデジタルやSNS活用、推し活の進化を感じるニュースを紹介。 普段はnoteで、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNSの活用についての啓発やサポートを担当。著書に「普通の人のためのSNSの教科書」「デジタルワークスタイル」などがある。

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