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PGAツアーが不可解な動き。すべてが始まったサウジ・インターナショナルへの出場申請を承認の怪!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

米男子ゴルフのPGAツアーが、なんとも不可解な動きを見せている。

米ゴルフチャンネルによる第一報を受け、他の米メディアも驚き交じりで報じているが、今年2月のサウジ・インターナショナルへのPGAツアー選手の出場申請をPGAツアーが承認したという。

この知らせを聞いて、「これでは、1年前に逆戻りするのではないか?」と米メディアもゴルフ関係者も首を傾げている様子だ。

そもそもPGAツアーでは、出場資格を満たしている大会と同週に開催される他ツアーの大会への出場を希望する選手は事前にツアーに申請を求め、承認を得るよう定められている。

しかし、サウジアラビアで2月のサウジ・インターナショナルへの出場を希望するPGAツアー選手は年々増加し、次第にPGAツアーは出場申請に難色を示すようになっていった。

サウジ・インターナショナルは、かつてはDPワールドツアーとアジアツアーの共催大会として開催されており、大会をサポートするサウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)から巨額のアピアランス・フィーが支払われていたことから、フィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソンなど当時のPGAツアーのスター選手たちが、こぞって出場していた。

PGAツアー選手がサウジのゴルフに傾倒していったこの動きこそが、振り返れば、選手たちが次々にリブゴルフへ移籍する動きへ、後々、つながっていったということになる。

PGAツアーとDPワールドツアーが戦略的提携を結んだことで、昨年からはDPワールドツアーはサウジ・インターナショナルとの関係を絶ち、同大会はアジアツアーのフラッグシップ大会に変わった。PIFから巨額の資金援助が行なわれ、サウジアラビアとアジアツアーとのつながりが深まったのは、このころからだった。

1年前の今ごろには、出場申請が30名超まで増え、PGAツアーは伝統あるAT&Tペブルビーチ・プロアマに出場せずしてサウジ・インターナショナルに大挙して出場することは「認められない」と言い始めた。

しかし、選手たちは、規定に則って他のツアーの試合に出る権利を主張。最終的には、PGAツアーは条件付きで出場申請を許可せざるを得なくなったという経緯があった。

その4か月後の昨年6月、リブゴルフが創設され、このサウジ・インターナショナルに出場していた選手の大半がリブゴルフへ移籍した。

サウジ・インターナショナルがリブゴルフ創設の布石となっていたことは明らかで、すべてはサウジ・インターナショナルから始まったと言っても過言ではない。

そのサウジ・インターナショナルは今年もPIFのサポートの下で開催される予定で、すでにリブゴルフへ移籍したキャメロン・スミスらが出場を表明しているが、リブゴルフとの対立が激化して今年、それでも同大会への出場申請をPGAツアー選手「数名」が提出したところ、PGAツアーがそれを承認したのは、一体なぜなのか。

リブゴルフとの法廷闘争を有利に進めるための訴訟対策か。それとも、オーガスタ・ナショナルがリブゴルフ選手のマスターズ出場を認めたことを受け、PGAツアーがリブゴルフあるいはサウジ側への歩み寄りを示したのか?

後者は現実的には考えにくいが、もしもPGAツアーが態度を軟化させたのなら、両者の和解の道も開けるのかもしれず、今後の展開が注目される。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人のテーマ支援記事です。オーサーが発案した記事テーマについて、一部執筆費用を負担しているものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています。】

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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