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JO1、勢力図が塗り変わる男性アイドルグループ戦国時代の筆頭格へ

武井保之ライター, 編集者
有明アリーナに立ったJO1(C)LAPONE Entertainment

 昨年末の『第73回NHK紅白歌合戦』への出場から、より幅広い層への認知を広げているボーイズグループ・JO1が全国アリーナツアー『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ‘BEYOND THE DARK’』を8月5日の東京・有明アリーナよりスタート。同ステージで、初の単独ドーム公演(11月24日、25日の2日間、京セラドーム大阪)と、ジャカルタ、バンコク、台北、上海の4都市アジアツアーを発表した。

 韓国の人気サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101』の日本版『PRODUCE 101 JAPAN』より誕生し、2020年3月にデビューした11人組ボーイズグループのJO1は、この3年で躍進。NHK『うたコン』の常連であるほか、韓国や中国の音楽賞も受賞するなどグローバルな活動で人気を拡大し、大きな地殻変動が起こりつつある日本の男性アイドルグループシーンで、筆頭格となる存在感を示している。

順調にステップアップしてきた現在地から次なるステージへ

 今回のツアーは、昨年ツアーに続き全楽曲生バンドの編成で、全国6都市13公演で開催。初日となるこの日の公演では、1曲目から生バンドの迫力サウンドに負けない透き通る歌声と力強いダンスパフォーマンスで、コロナ禍のあと初めて声出しが可能になった会場を、序盤から大いに盛り上げた。

涙を見せるファンの姿も見られたJO1の熱いステージ(C)LAPONE Entertainment
涙を見せるファンの姿も見られたJO1の熱いステージ(C)LAPONE Entertainment

 ユニットステージでは、歌、ダンス、ラップなどメンバーそれぞれの個性とテクニックを存分に発揮するパフォーマンスでファンを圧倒。恒例のにぎやかでありながら、胸を熱くするメッセージで心を揺さぶるMCでは、会場に集まったファンと感情を共有し、心をひとつにする。

 アンコールでは、追加公演の発表で会場を沸かせ、3rdアルバム『EQUINOX』(9月20日発売)から新曲も初披露。ファンキーなディスコチューンで観客と一体となって歌って踊り、全身で喜びを爆発させる。涙を流すファンと再会を約束してステージの幕を下ろした。

 新曲をリリースし、メディア出演を重ね、ツアーステージを踏むたびに大きな成長を感じさせる彼ら。次なる明確な目標を前に、目を輝かせるこの日の姿からは、ここまで順調にステップアップしてきた現在地から、さらなる大きなステージへの飛躍に向けた新たなフェーズに突入していく決意のようなものが感じられた。

ツアー初日を大成功させたJO1と観客たち(C)LAPONE Entertainment
ツアー初日を大成功させたJO1と観客たち(C)LAPONE Entertainment

自治体や企業と組む地方発プロジェクトも軌道に乗る

 これまでの興味深いJO1の活動のひとつが、協賛企業や自治体とともに地方の魅力を全国に発信する「HOT JAPAN with JO1プロジェクト」。日本の「熱意に溢れる人、熱気に満ちた場所。熱源となる文化」を掘り起こすことをテーマにJO1が地方を訪れ、その地でミュージックビデオ(MV)などを撮影し、地元を巻き込んで発信していく。

 これまでに、第1弾では山梨県や山中湖村とともに山中湖の湖面に広重ブルーのステージを設営し、世界遺産・富士山を正面に望む場所で撮影したMVを世界発信。第2弾は、雪とねぶたに彩られた冬の青森県に舞台を移す。厳しい寒さとねぶた祭りの熱気がぶつかるこの地の伝統文化や郷土料理といった魅力をメンバーたちが発信した。

 そして、第3弾では姫路市や姫路城の協力を得て、桜舞い散る姫路城にてHOT JAPAN スペシャルアレンジの「ALL HOURS」をパフォーマンス。そのMVとともに、桜満開の姫路城周辺や姫路セントラルパークなど同地の魅力をさまざまな角度からJO1が紹介する。

 同プロジェクトにより、自治体や企業は彼らのファンを通して広く地域の魅力を発信することができ、JO1は地域に密着した活動からそれぞれの地元にアプローチすることでファン層の地盤を厚くする。22年秋のスタートから季節ごとに自治体とコラボしている同プロジェクトは、すでに引き合いも多く、次なる大型案件も動き出すなど、スタートから1年を経たず軌道に乗って機能している。

 メディアを通したマスへのアピールとともに、こうした地道なローカルの開拓を両輪として展開していることが、JO1のアーティスト強度につながっていることがうかがえる。

 男性アイドルシーンは、いままさに従来の勢力図が塗り変わる時代のターニングポイントを迎えようとしている。歌唱やダンスのクオリティの高い音楽性で若い世代を惹きつけるK-POPグループもひしめき合う群雄割拠の戦国時代において、まだ次の時代の絵図は見えてきていない。その筆頭格のポジションに立つグループの1組がJO1だ。これからの動向に注目したい。

ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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