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【沼津市】吉田温泉で本田照男絵画展を開催「色の前では誰もが平等」

NumaLens地域ニュースサイト号外NETライター(沼津市)

2024年11月16日(土)と17日(日)、沼津市吉田町の吉田温泉にて「本田照男絵画展」が開催されました。現在は休業中の吉田温泉の男湯を中心に色鮮やかな作品が展示され、多くの来場者を魅了しました。

本田照男さんは沼津市在住の画家で現在78歳、かつて市内で焼肉店を営んでいました。60歳を迎えた頃、突如として絵を描き始めたそうです。展示会のチラシには「描くことは、生きること。」と記されていますが、作品の鮮やかな色彩からは、単に「カラフル」というだけでなく、生きることの深みを感じさせる趣があります。

展示空間の魅力

作品が展示された男湯の脱衣所では、歴史ある木の床やロッカーを生かし、額縁の絵画や布に描かれた作品が独特の調和を見せていました。男湯では丸い浴槽を囲む形で作品が並べられ、正面の壁には大きな絵画が掲げられていました。この作品は、浴場の淡い緑色のタイルに見事に調和していました。

音楽が絵画の扉を開いた瞬間

在廊していた本田さんに、絵を描き始めたきっかけを伺いました。「昔から音楽が好きで、バッハの『マタイ受難曲』を聴いていた時、何かとつながった感覚があり、自然と涙がこぼれました。その瞬間、大切なことに気づいたような気がしました」と語ります。そして最初に描いたのは、丸や三角、四角を組み合わせた作品だったそうです。

本田照男さん
本田照男さん

「色の前では誰もが平等」

本田さんは絵を描くことについて、次のように語っています。「絵は誰にでも描けます。上手く見せようとか、売ろうとか、そういうよこしまな心がなければ、誰でも描けるんです。なぜなら、色の前では誰もが平等だからです。大人でも子どもでも、何かをやってみれば何かが得られます。そして、自分の時間が貴重だと気づくことで、自然の美しさにも目を向けられるようになるんです。アートを通じて、少しでも世の中が良くなればと願っています。とにかく(何かを)やってもらって、そして気づいて欲しいと感じています」

アートが紡ぐ超高齢社会の未来

吉田温泉を管理する兼子京子さんも、アートの意義について話しています。「これからの超高齢社会は、(高齢者用の)施設を増やすだけではなく、生き生きと生きるためのアートが重要だと感じています」さらに、アートは誰にでも手が届くものであることを、来場者に伝えていました。

兼子京子さん(前列右から2人目)と同時開催された「沼津レトロ写真展xアートin吉田温泉(旧銭湯)」の出展者の皆さんとの記念撮影
兼子京子さん(前列右から2人目)と同時開催された「沼津レトロ写真展xアートin吉田温泉(旧銭湯)」の出展者の皆さんとの記念撮影

多くの人が、本田さんの「60歳で突然絵を描き始めた」というエピソードに注目し、特別な存在のように感じるかもしれません。しかし、実際にお話しすると、とても親しみやすく、もっと話を聞いてみたくなる方でした。

2日間のイベントを終える際に本田さんは「この空間(吉田温泉の男湯)は私の作品を引き立ててくれています。この場所そのものがアートになっています」と語り、やさしい笑顔で今回の展示を振り返っていました。

吉田温泉(現在休業中)
静岡県沼津市吉田町2-16

地域ニュースサイト号外NETライター(沼津市)

静岡県沼津市に住んで30年。沼津市のまちづくり、ひとづくりに関するイベント、季節の行事などを追いかけています。2024年7月より地域ニュースサイト号外NETライター沼津市担当。

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