プロゴルファーのグリップスピードが最速になるのはインパクト前!加速と減速のメリハリが最大飛距離を生む
ツアー選手のスイングを見るとクラブヘッドがインパクトで‟ビュン”と加速している。特に男子選手のヘッドスピードは速い。米男子ツアーの平均は約51.5m/sだ。
今回ポイントに挙げるのが、ヘッドスピードとグリップスピードの関係性。インパクトでヘッドスピードを最速にするには、グリップスピードはインパクト前に最速になる必要がある。
男子トーナメントプロ4名と、女子トーナメントプロ4名、計8名を被験者とした研究「地面反力から見たゴルフスイングの特徴(野澤むつこ・吉田康行・丸山剛生)」では、左手の速度が最速になる局面は‟インパクトの0.1秒前付近”という結果になった。
アドレスからインパクトまでの左手の速度
以下の図は、ゴルフスイング中のアドレスからインパクトまでの左手の速度。ADはアドレス、TDは腰回転変化点((右打ちの場合)腰が右回転から左回転に切り替わる変化点)、Impはインパクトのことだ。
アドレスの状態から動き始めた左手は、テークバック付近でゆるやかに加速して、バックスイング付近から腰回転変化点に向けてゆるやかに減速している。
左手は腰回転変化点を過ぎてから急加速、そしてインパクトの0.1秒前付近で最速となり、そこから急減速しインパクトを迎えている。
左右の手が入れ替わる
インパクト前の左手の減速は、左右の手の入れ替えのはじまりを意味している。左右の手の入れ替えが、タイミング良く正しく行われることで、シャフトの性能が生かされ、ヘッドがスムーズにターンしながら加速する。
この局面は「右手が左手を追い越す」と表現されることがあるが、これでは、右手が加速する、というイメージなる。
トーナメントプロの手の動きを参考にする場合、右手は加速しないけれど左手が減速することで位置関係が逆転する、というイメージを持ちたい。
チキンウィング
多くのゴルファーはフォロースルーで左ひじが引けた‟チキンウィング”になっている。左手が加速し続けるとこの状態になる。
左肘がスムーズにたたまれる、もしくは左腕が伸びやかなフォロースルーを獲得するには、左手の加速と減速のメリハリのきかせ方がポイントになる。
‟左手がインパクト前に減速”というキーワードを加えることで、体幹や下半身の使い方のイメージがより鮮明になる。
スライスが抑えられないゴルファーや、パワーの割に飛距離が出せていないと感じているゴルファーは、グリップスピードや左手速度の加速と減速のメリハリについて探ってみてはどうだろうか。
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