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悪夢の6連敗を喫したエ軍のPS出場確率は2.2% ヌートバーの21年カ軍は1.5%から奇跡を起こす

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
大谷翔平が率いるエンゼルスは、8月に入って勝ち星なしの6連敗中だ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 悲願のプレーオフ出場に向けて補強を重ねたエンゼルス。有望若手選手との交換で、今季限りで契約が切れる「レンタル選手」を補強。球団の将来を犠牲にしてまでも今季に全てを注ぎ込む『オール・イン』の姿勢を見せたが、8月1日(日本時間2日)のトレード期限終了後は6試合全てに敗れている。

 エンゼルスが大谷をトレード放出リストから外したと報じられた7月26日(日本時間27日)の時点での成績は、52勝49敗(勝率.515)で、アメリカン・リーグ西地区首位のレンジャースに7.0ゲーム差の地区3位。野球データサイト『Fangraphs』の試算によると地区優勝確率は3.9%と低かったが、プレーオフ出場確率は16.7%と僅かな希望が残されていた。

 この時点でのワイルドカード争いでは、ワイルドカード3枠目に位置していたブルージェイズとのゲーム差は4.0。

 翌27日(日本時間28日)にはタイガースとのダブルヘッダーで連勝して、プレーオフ確率は22.7%まで上昇して、『オール・イン』の強気な賭けは正しい姿勢のようにも見えた。

米国7月27日終了時点でのワイルドカード争いチームの成績とプレーオフ出場確率(Fangraphsより)
米国7月27日終了時点でのワイルドカード争いチームの成績とプレーオフ出場確率(Fangraphsより)

 ところが8月に入ると、エンゼルスは投打の歯車が噛み合わずに、ここまで6戦全敗。

 メジャー最高勝率を誇るブレーブス相手に敵地で連敗したのは仕方がないとしても、地区ライバルのマリナーズに本拠地で4連敗を喫したのは情けない。

 フィル・ネビン監督は「皆がもうこのチームは終わったと思ってるのは分かっている。それでも構わない。最後まで戦う気持ちを持つ26人の選手とスタッフと一緒に一生懸命戦うだけだ」と諦めない姿勢を見せるが、ここからのプレーオフ出場にはミラクルが必要となってくる。

米国8月6日終了時点でのワイルドカード争いチームの成績とプレーオフ出場確率(Fangraphsより)
米国8月6日終了時点でのワイルドカード争いチームの成績とプレーオフ出場確率(Fangraphsより)

 MLBのプレーオフ出場権利は、各リーグごとに地区優勝した3チーム、そしてワイルドカード枠として地区優勝チーム以外の中で勝率上位3チームの合計6チームに与えられる。

 地区優勝がほぼ絶望的なエンゼルスは、ワイルドカードを狙うことになる。

 現在3枠目に位置するブルージェイズの勝率は.558で、ブルージェイズがこのままのペースでシーズンを終えると成績は90勝72敗(勝率.555)となる。

 エンゼルスがシーズン90勝に到達するためには、残り49試合を34勝15敗(勝率.694)で勝ち進まなければならない。

 そんなエンゼルスにとって希望の光となるのが、2021年のカージナルス。

 8月5日の時点で、53勝55敗(勝率.491)でプレーオフ出場確率は1.5%と今のエンゼルスを下回っていた。

 カージナルスはそこからの54試合を37勝17敗(勝率.685)と快進撃をみせ、当時は2枠しかなかったワイルドカード最後のスポットを勝ち取った。とくに9月半ばの大切な時期に怒涛の17連勝を飾り、奇跡を起こした。

 この最後まで諦めないチームにいたのが、今年のWBCで大谷翔平と一緒に世界一を勝ち取ったラーズ・ヌートバー。元巨人のマイルス・ミルコラスも先発ローテーションの一員として、メイクミラクルに貢献した。

2021年のカージナルスのメイクミラクルに貢献した新人だったラーズ・ヌートバー(68番)
2021年のカージナルスのメイクミラクルに貢献した新人だったラーズ・ヌートバー(68番)写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ネビン監督の言葉のように、エンゼルスの選手たちは奇跡を起こす強い気持ちを持って戦えるのか。

 今週末から来週にかけては、同地区のアストロズとレンジャースとの敵地6連戦が控えているが、そこで大きく勝ち越せば、プレーオフ出場への光が見せてくる。

そのためには、まずは今夜からのジャイアンツ3連戦が大切となる。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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