築127年で千葉県最古!総武鉄道が建てた入母屋造の木造駅舎 総武本線 横芝駅(千葉県山武郡横芝光町)
鉄道設備の新陳代謝が激しい関東地方にありながらも、JR・私鉄ともに良質な木造駅舎が比較的多く残っている木造駅舎の宝庫・千葉県。その県内で最も古い駅舎があるのが、千葉県の大動脈・総武本線の横芝(よこしば)駅だ。
横芝駅は明治30(1897)年6月1日、総武鉄道が成東から銚子まで延伸した際に開業。駅舎はその当時のものが建て替えられることなく使用されており、今年で築127年だ。駅舎は寺社や古民家に多く見られる入母屋造(いりもやづくり)で、支柱を建てて三方に廻廊を巡らしている。入母屋造の駅舎は明治・大正期に多く建てられ、現存するものは少ないが、一年後に開業した隣の松尾駅にも残されている。屋根はかつて瓦葺だったが、平成になってからスレート葺に変更された。
横芝駅は山武郡横芝光町の玄関口で、特急「しおさい」も停車する。有人駅だが、窓口は閉鎖されているため乗車券は券売機で購入しなければならない。
横芝光町は平成18(2006)年3月27日に山武郡横芝町と匝瑳郡光町が合併して誕生した町で、栗山川対岸の光町には鉄道の駅がないため、合併前から横芝駅は横芝と光、二つの町の玄関口だった。
駅舎正面はタクシー乗り場の屋根があるため構図が限られるが、ホーム側は上屋もなくすっきりしているため、駅舎の形状が分かりやすい。
ホームに屋根がないため、関東近郊の特急停車駅と思えないほどのどかな雰囲気だが、町の玄関口だけあって一日1100人以上の利用がある。
ホームは二面三線。駅舎側の1番線が成東・千葉方面、真ん中の2番線が八日市場・銚子方面で、3番線は当駅始発と特急待避の列車が使用する。ホーム間は屋根なし跨線橋で結ばれており、令和4(2022)年9月28日よりエレベーターが使用開始となった。
千葉県最古の駅舎として、地元でもその価値が認識されている横芝駅の木造駅。時代に合わせて改装されているので、明治そのままの雰囲気ではないが、屋根の形状や支柱など随所に古さを留めている。特急に乗れば東京駅から一本で行けるくらい便利なところなので、足を運んでみてはいかがだろうか。
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