経済発展は許容するが文化や生活様式の変化には憂慮する中国の人達
今世紀に入ってからの経済の飛躍などで大きく変化を遂げている中国。その中国に住む人たちにとって、自分達の文化や生活様式の変貌へはどのような想いを抱いているだろうか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年9月に発表した、中国における民衆の懸念事項に係わる調査報告書「Corruption, Pollution, Inequality Are Top Concerns in China」から確認していく。
同報告書でも触れられているが、中国国内の人達は経済状態の改善・良好さを、肌身で感じている。
一方、経済の発展と共に、さまざまな周辺環境の変化も生じている。いわゆる近代化の到来というものだが、その現状に関して、どのような心境を抱いているのか。現代社会の(スピード感の増した)ペース、伝統的な生活様式の逸失、大量消費・商業主義的な社会の流れと自国文化との対立、生活様式における海外の文化の浸透の観点から、肯定的か否定的かを尋ねた結果が次のグラフ。
現代社会のペースを嫌う人は1/4程度に過ぎず、好きとの認識を示す人は2/3に達している。意外にも多くは肯定的。他方、伝統的な生活様式が次第に失われていくであろうと考えている人も2/3に及んでおり、根強く残ると信じている人は3割にも満たない。
また、元々共産主義国家の中で資本主義的な発想・概念である大量消費・商業主義的仕組みの導入・普及が進むに連れ、これまでの文化が影響を受け、脅威となるか否かについては、5割以上の人が脅威を感じている。ただ、自国の文化の力強さを信じている人も1/3程度に達している。
経済発展に伴うスピード感の変化には好感を示しつつも、その流れの中で文化や生活様式など古来のものが失われるとの実感を覚えている状況で、それではその文化や生活様式は守られるべきか否かに関しては、8割近くが「守られるべき」との想いを抱いている。
経済的発展を望みながら、一方で従来からの生活スタイルも維持したい。これはなかなか難しい話に違いない。両方の考えのバランスを取りながらの施策が、同国政府には求められることだろう。
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