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<ガンバ大阪>ホームでの川崎フロンターレ戦は、宮本ガンバとして初の完封勝利!

高村美砂フリーランス・スポーツライター

J1リーグ25節の川崎フロンターレ戦は『宮本ガンバ』としては初めて3バックでスタートする中、7分という早い時間帯にMF遠藤保仁の右コーナーキックにDF菅沼駿哉がヘディングシュート。それはポストに嫌われたものの、こぼれ球をFW渡邉千真が左足で決めて幸先よく先制点を奪う。後半もやや押し込まれる展開となりながら、55分に再びMF遠藤の左コーナーキックをファーサイドでDFファビオが右足で押し込み、2−0に。その後の時間帯も前がかりになった川崎にボールを握られる時間も長かったが、全員が集中を切らさず守り抜き、『宮本ガンバ』としては初の完封勝利を飾った。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

試合前のミーティングで、去年、よかったところ、できていたところ、いまできていないところを選手に確認してもらうために、守備面での1:1の局面での寄せ方だったり、連動してボールを奪うという部分のビデオを見返しました。その部分は今日の試合においても、キーになるということは伝えましたし、システムもやり方も変えた中で、局面をいかに戦うかということを強調して試合に入りました。幸先よく先手を取れたあとも選手が下がることなく、しっかりとボールに対してアタックしていましたし、後半に入っても前にパワーをもちながら、セットプレーで点を取ることは狙いでもありましたが、実際にセットプレーで追加点をとれて、最後まで全員がハードワークしたことがクリーンシートにつながった。この守備を続けていきたいと思います。

ー今野選手が戦列に復帰しました。彼の評価を。

手術をしてから2ヶ月ほどたって、練習に戻れるかどうか、っていう時期が続いて、彼自身もすごく葛藤があった中で、先週のJ3リーグの試合に出て手応えを掴んで、今日の試合も起用できると。もう一度ビデオを見て確認して、大丈夫だということで起用しました。ボールに対する執着心だとか、奪ったボールを丁寧につないで、さらにスペースを見つけていくとか、3ヶ月のブランクを感じないくらいのパフォーマンスでしたし、彼が帰ってきたことによってチームが受けた影響は大きかったと思います。

ー今日はボールを握られる時間も長かったですが、攻撃的な守備ができていたように思います。今週のトレーニングでいちばん取り組んだところと、対川崎ということで5バックを選んだ狙いは?

今週やってきたのは少しボールを握られる中で、チャレンジ&カバーというか、すこし押し込まれた展開が続く中でのマークの受け渡しは確認しました。プレスにいくというところは、それほど時間はなかったので、まずは後ろの部分を整理しつつ、でも前にいくんだということに関しては、もちろん下げられる時間もありますが、前に行く時間、そういうシーンを作ろうというトレーニングはしてきました。5バックについては、3バックのそれぞれの良さをいかしたいと、ファビオのカバーリングの強さ、菅沼駿哉や三浦弦太の人への強さを考慮して決めました。対戦相手によっていろんな選手を使いながら、組み合わせを考えながらやっていきたいと思いますし、今後も相手を分析しながら陣容を考えていきたいと思います。

ー小野瀬康介選手についての評価をお願いします。

彼の持ち味である縦へのスピードというのを、ボールを奪った瞬間に生かしてほしいと思って起用しました。また、右サイドの深いところからのチャンスメイクも期待してピッチに出しましたが、もっとやれると思います。このホームで初スタメンで、相手が川崎で気負うところもあったかもしれませんが、もう少し試合を重ねて行くことで、周りとの理解をお互いに深めながらやっていくことでもっと彼の良さが出ると思っています。

●DFファビオ

(3バックで臨んだ試合。宮本ガンバとしては初めての完封勝利となりました)3バックの練習をする時間はあまりなかったのですがそれでもいい内容の試合だったと思います。今の状況をみんなが理解してひたむきに戦いました。練習時間が十分とれるかどうかに関係なく、やるべきことを高い意識を持って戦った試合だったと思います。(三浦選手も菅沼選手もファビオのカバーリングがあったので安心して戦えたという話をしていました)長谷川健太さんの時代も3バックをやったことはありましたし、経験したことのあるポジションだったので3バックの中央であっても左であってもどちらでもできたと思います。(1−0で進めば苦しくなるだろうなという状況の中でファビオ選手のゴールでかなり試合も楽になりました)本当に嬉しいです。神様のおかげだと思いますし、僕の仕事としてはまずは守備をしっかりすることですが、チャンスがあれば点を取るところでも貢献できればと思っています。(名古屋戦では2点を先行しながら逆転されたことがありました。今日は2点を先行する中でどんなことを考えながら試合を進めましたか?)おっしゃる通り、2点を先行しながら逆転された試合があったということが教訓となって、今日は2−0になった後も絶対に気を抜かないというところでみんなが意思統一できていたと思いますし、逆に今日は2−0になってからそれ以上の力を出せたんじゃないかと思います。

●FW渡邉千真

みんな気持ちの入ったいい入りができて、最初のセットプレーで決められましたが、ボールがこぼれるかもしれないなと思ってつめていたので決めるだけでした。うちのディフェンスラインは背が高いし、競らせれば勝てると思ったし、ああいいうところは狙っていた中でちょうどこぼれてきた、という感じでした。1トップについては、もっとボールをおさめて味方に繋げられたらよかったという反省は残ったので、そこはもう少し詰めていきたいです。

●MF今野泰幸

(久しぶりの90分でしたが)やれると思っていなかったですが、思っていた以上に集中していたし、後半始まってからはまあまあ痛さも感じていたんですが、とにかく70分まで頑張ろう、80分まで頑張ろうと思ってプレーしていた中でチラチラ時計をみていたんですが、80分を過ぎてからは時計をみることもなく、いつのまにか終わっていました。(特に時間制限をして、ということではなかったんですか?)はい。何も言われていなかったので。イコール、自分がいけるところまでやるんだなっていうことだなと思って頑張りました。(3バックで試合に入って、完封で終えられたことへの手応えは?)正直、探り探りだったし、まだまだうまくいっていない部分はたくさんあったんですけど、最後のところをやらせないというところはみんなで声を掛け合いながらできていたし、そこはいいところだと思うので。完璧ではないし、修正しなくちゃいけないポイントはあるなとは感じています。特にビルドアップですね。距離感も遠いし、後半も守備は集中して頑張っていても、奪ったあとになかなかボールがうまくつながらないし、チャンスに繋がるのもほぼカウンターなので。奪った瞬間に相手がバランスを崩している中での速い攻めはできたけど、そうじゃなくて自分たちがマイボールの時とか、DFラインでまわしているときにうまくビルドアップしてボールを前に運べないので。やっていても距離感がすごく遠いしボールをもらってもどうすればいいのか、ってことが多く、もらいたくないなっていう感じになっていたし、僕もそこは感じちゃっていたので、もう少しみんなで修正して、ポジショニングをうまくとりながらやりたいなっていうのは思いました。(チームとしてはずっと失点が続いていて、先制しても後半に追いつかれることが多かった中でゼロで終われたことの大きさは?)今日は割り切りもありましたよね。川崎はやっていても質が高かったし、ボール回しのレベルも高いし、前線の選手もレベルが高いので、そういう相手に対して僕らは集中し続けないと絶対に失点してしまうというのがあったから。監督からは、具体的になぜ5バックにしたのかは言われなかったけど、選手たちの中では守りに重点を置くんだろうなっていうメッセージとして受け取っていたところはあったので、別に攻められても、最後のところでやられなければいいというか、守りを重点にして少ないチャンスをものにするというのは多少みんなの頭にあったと思うし、今日はそれが達成できたということだと思います。

●DF菅沼駿哉

慣れないポジションで初めて左をやったんですが、ファビオが後ろでカバーしてくれていたので、僕は小林選手のところをしっかりつぶすということだけを意識していました。ツネさん(宮本恒靖監督)が苦しんでいるのもわかっていたし、その中で使ってもらっている期待に応えたいというのはずっと思っていたので、ゼロという形でこたえられてよかったと思います。(1点目も菅沼選手のヘディングがポストを叩いたところからでした)出してもらっていて、どんな形でもチームに貢献したいというのがあったので、チャンスがきたら狙っていこうと思っていたので、あれがゴールにならなかったのはまだ詰めが甘いのかなというのは思います。(人への強さもしっかり発揮しながら積極的な守備をしていましたね)試合前は少し不安がありましたが、弦太(三浦弦太)とも自分たちの良さを出し合いましょうという話はできていたし、本当に僕たちは前にいくだけであとはファビオが全部カバーしてくれたので、後ろが怖がらずに前にいけたのはファビオのおかげだと思っています。(今野選手の存在も大きかったですか?)1回1回ボールが切れるたびに、リラックスするような言葉をかけてくれたり、逆に「ここは大事だぞ」と言ってくれたり、1つ1つ息抜きできる時間を作ってくれたので本当に存在は大きかったです。(川崎相手に完封できたのは自信になりますか?)正直、すごいいやなイメージが続いていたというか、前節もサガン鳥栖を相手に大量失点をしてしまい、DF陣だけでビデオを見たりもしたし、どうしてもゼロにこだわりたかった中で、川崎相手にゼロでおさえられたのは大きい。これをいかすためにも次のヴィッセル神戸戦は本当に大事だと思うので、次は本当に集中して臨みたい。ツネさんが毎回、試合前に熱い気持ちを伝えてくれてて、僕もガンバで育った一人としてそういう気持ちはすごくわかるので、気持ちのこもったプレーを残り9試合で出していきたいと思います。

●MF遠藤保仁

相手の良さを消す目的での3バックと思いますし、結構ぶっつけ本番に近かったですけど、十分機能したのかなと思います。(チームの現状として勝ち点狙いという意味での3バックだったのでしょうか)まずは失点しないことが大事だったと思いますし、その中で相手も失点の半分がセットプレーだという情報もあったので、そういうチャンスをものにできたという意味では狙い通りだったと思いますし、少し後半は押し込まれる時間も多かったですが、全体的にはよく耐えながら勝ち点3をとれたのかなと思います。(遠藤選手のセットプレーからの2得点でした)僕はキッカーとしていいボールを蹴るだけに集中していましたし、あとは中の判断なので、ただ、セットプレーからなかなか点が取れていなかったので、どちらのゴールも良かったと思いますし、これから先もセットプレーは大事にしていきたいと思います。(キックもいつもより早く、対応しづらいボールを入れていました)中とのタイミングがあえばと思っていたので…そんなに上背のある選手が多いわけでもなかったのでいいボールを蹴ることだけに集中していました。駿哉(菅沼駿哉)もファビオもいいところに入ってくれていましたし、千真もしっかりこぼれ球に対応してくれていたので。これからも常に相手に脅威を与えられるようなセットプレーにしていければいいなと思います。(遠藤選手から小野瀬選手を狙った速いボールも前半からよく入っていました)彼の特徴でもありますし、サイドバックの裏というのは前がかりになるチームのウィークポイントでもあると思うので、何度かいい場面は作れましたし小野瀬の特徴もみんなが少しずつわかってきたので、よりいいコンビネーションができるようにしたいなと思います。(これまで先制しても追いつかれたり、逆転される試合が続いていた。今日の2−0になってからの試合の進め方について)危ない場面も多少はありましたがゼロでおさえられたのは、この試合の目的の1つだったと思いますし、リードして勝ちきれない試合が続いていたので、川崎相手にゼロで抑えられたのは評価していいと思います。ルヴァンを挟みますが次のヴィッセル神戸戦も先制してしっかりと逃げ切るという展開にもっていければいいなと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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