なぜ『雑種猫(混血種)は寿命が長い』のか?考えられる理由3つと猫の寿命のギネス記録を紹介!
猫好きなら誰もが一度は耳にしたことがあるかもしれません。「雑種猫は長生き」という言葉。
実際さまざまな猫種の中でも、雑種猫は長生きの傾向があるようです。しかし、なぜ雑種猫は他の猫種よりも長寿なのでしょうか?
また猫の世界での「最高齢」とは、一体何歳の猫だったのでしょうか?
1.雑種猫は平均寿命が長い
雑種猫は、ほかの猫種に比べても平均寿命が長い傾向があります。
アニコムの「どうぶつ白書2024 猫種別の平均寿命(2022年度版)」をみると、混血種(雑種)の平均寿命は15.0歳とあり、2位のスコティッシュフォールドの13.6歳より1.4歳寿命が長いとわかります。
【ちなみに…】
雑種猫と日本猫は混同されがちですが、日本猫は雑種猫の仲間のひとつです。
しかし外国から洋猫が持ち込まれるようになってから、生粋の日本猫は少なくなり、野良猫などに多い雑種猫たちもほとんどが「洋猫×和猫」のミックスです。厳密に言うと日本猫ではありません。
見た目はがっつり日本猫かもしれませんが、遺伝的には洋猫と和猫のミックスというわけです。
2.雑種猫がご長寿である考えられる3つの理由
2‐1.遺伝子が多様
雑種猫が純血種よりも長寿である理由の一つに、遺伝子の多様性が挙げられます。
純血種の場合、特定の遺伝子を持つ個体同士を繰り返し交配させることで、見た目の美しさや特性を確立する一方、特定の遺伝子疾患を引き起こすリスクが高いデメリットがあります。
一方雑種猫は、異なる遺伝子を持つ個体同士が交配して誕生するため、遺伝子の多様性が非常に豊かで、特定の遺伝子疾患を引き起こす遺伝子を持つ確率が低くなるのです。
たとえばある遺伝子疾患を引き起こす遺伝子を持っていたとしても、他の遺伝子によってその影響が打ち消されたり、自然と体が強い個体が出現しやすいのですね。
このような遺伝的な背景は、個性が強い雑種猫の大きな魅力であり、長寿につながる重要な要因の一つと考えられます。
2‐2.もともと生命力が強い
雑種猫たちは、もともと生命力が強い傾向があります。
一般家庭で飼育される雑種猫は元保護猫という子が多く、かつては野良猫として過酷な環境で生きてきた猫たちがほとんど。
そのため人に懐きにくい一面もありますが、生命力が強い子が多いのです。生命力が強くないと、自然環境では生き残れませんから…。
そうして生命力が強いもの同士が交配を繰り返した結果、雑種猫には生命力の強い個体が目立つようになったのでしょう。
もともと猫という生き物自体生命力は強いと言われますが、そのなかでも雑種猫の生命力の強さは、長寿に結びつく要因のひとつと考えられます。
2‐3.適応能力が高い
雑種猫が長寿である理由の一つに「適応能力が高い」という点が挙げられます。
環境がコロコロ変わる外の世界で暮らしていた雑種猫たちは、とにかく環境変化への適応能力が高い傾向があります。
様々な環境で生き抜いてきた実績があるため、新しい環境にも比較的スムーズに適応できるのでしょう。
そしてこの驚くべき適応力も、長寿につながる要因と考えられます。
3.猫の寿命ギネス記録は「38才」
猫の寿命に関するギネス記録として知られるのは、アメリカ・テキサス州の猫「クリームパフ」ちゃんで、なんと38歳と3日(1967年8月3日~2005年8月6日)まで生きました。
猫の寿命は品種や個体差、生活環境などによって異なりますが、一般的に完全室内飼育の猫で16年ほど、人間で言うと80歳くらいです。
しかしクリームパフちゃんは38歳3日という驚異的な年齢まで生きました。これは人間に換算すると170歳ほどに相当し、まさに奇跡と言えるでしょう。
またクリームパフちゃん以外にも、30歳越えの猫たちが世界には存在するようです。
ただ今や獣医療も発展していますから、今後猫が30年生きるのが当たり前になっていくかもしれませんね!
参考:「猫の最長寿のギネス世界記録|長生きする世界一の猫たち」
4.まとめ
雑種猫の長寿の秘訣は、遺伝子の多様性や生命力の強さ、高い適応能力などが考えられます。
確かにわたしが勤めていた動物病院でも、ご長寿の猫はほとんどが雑種猫でした。
ただし今回紹介した内容は、あくまでも傾向の話です。雑種でも短命の子もいれば、純血種でも長寿の子もいます。
猫の長生きの秘密は、猫の種類うんぬんよりも飼い主の正しいケアが大切。そのため猫の種類にとらわれず、愛猫の寿命が長くなるように徹底的なサポートしてあげてくださいね。