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【NHL】スタンレーカップファイナル今夜開幕! 今季のファイナルは「経験が物を言わない戦い」になる?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ボストンvsセントルイス(Courtesy:@webboy10169)

 今季のNHLのチャンピオンを決めるスタンレーカップ ファイナル(以下SCF)が今夜(現地時間)開幕!

 イースタン カンファレンスを制したボストン ブルーインズと、ウエスタンの覇者 セントルイス ブルースが、これまでの3つのラウンドと同様に、ベストオブ7(7回戦制。先に4勝すれば勝利)で、今季の王者を決します。

▼セントルイスも「ノータッチ」

 ボストンがSCFへ勝ち上がった際に触れましたが、かねてNHLでは「スタンレーカップを手にする前に、カンファレンスの優勝トロフィーを手にすると、スタンレーカップを手にできなくなる」と、言われ続けています

 ところが近年は、手渡されたカンファレンス優勝トロフィーに触る選手が増えていましたが、ボストンの選手たちは、「プリンス オブ ウェールズ トロフィー(イースタン カンファレンスの優勝トロフィー )」に、誰も触れませんでした。

 一方のセントルイスには、ウエスタンの覇者の証となる「クラレンス キャンベル トロフィー」が贈られましたが、、、

 こちらもノータッチでした。

▼序盤から低迷したセントルイス

 17日に配信した記事ではボストンを紹介しましたが、今日はウエスタンを制したセントルイスを紹介しましょう。

 今季のセントルイスは序盤から低迷。

 レギュラーシーズンが、およそ1/4に差し掛かった11月19日(19試合消化時点)に、見兼ねたダグ・アームストロングGMが、マイク・ヨー ヘッドコーチ(HC)を解任。

 アソシエイトコーチだったクレイグ・ベルービー(現52歳)を、暫定HCに指名しました。

▼ヘッドコーチ交代からV字回復

 フィラデルフィア フライヤーズでHCを務め、ワシントン キャピタルズのHC候補にも名前が挙がったことがあるベルービーが就任すると、チームはV字回復。

 開幕からの19試合で「勝点17(=勝利すると勝点2ポイント)」だったセントルイスを勝利へ導き続け、就任後は63試合で「勝点82ポイント」を上積み。

 3季前にはマイク・サリバンHCがピッツバーグ ペンギンズを。

 7季前には日本リーグでもプレーをしたダリル・サターHCがロサンゼルス キングスを、それぞれレギュラーシーズンの途中から率いて、スタンレーカップに導きましたが、ベルービーHCも続くことができるでしょうか?

▼セントルイスが目指すのは「初勝利」

 しかし、スタンレーカップを目指す前に、ベルービーHCが目指すのは、ズバリ!「初勝利」です。

 セントルイスの歴史を紐解くと、1967年のエクスパンション(リーグ拡大)でNHLに加盟してから、3季続けてSCFまで勝ち上がりながら、モントリオール カナディアンズに二度。ボストンに一度。ともにスウィープ負け(1つも勝てずに敗退=4連敗)を喫してからは、SCFに勝ち進むことができずにいたため、まず何はさておいても「SCF初勝利」を目指さなくてはなりません。

 

▼優勝経験が大きなアドバンテージに!

 対するボストンは、NHL最長身選手(2m6cm)で、キャプテンを務めるズデノ・チャラ(DF・42歳=プレーオフ通算175試合出場)や、パトリス・バージュロン(FW・33歳=同129試合出場)、デビッド・クレイチ(FW・33歳同125試合)など、プレーオフの経験値が高く、しかもスタンレーカップを手にした優勝経験者が揃うのが、大きなアドバンテージとなりそう。

▼「経験が物を言わない戦い」になる?

 しかし、その一方で、選手たちのプレーオフ経験を精査すると、今季のプレーオフで試合に出場した選手は、ボストンが「23人」。セントルイスが「22人」で、合わせて「45人」

 そのうち「37人」はSCFでプレーするのは、今季が初めてとなります。

 「レギュラーシーズンと、プレーオフは異なる戦い」だと言われますが、これまでプレーオフで戦ってきた3つのラウンドと、王座を懸けたSCFとなれば、これまで以上のプレッシャーが掛かるため、別次元の戦いを強いられるのは必至。

 それだけに、「これまでの経験が物を言う」、、、もとい、「これまでの経験が物を言わない戦いになる!?」と言っても過言ではなさそう。それだけに、どのようなシリーズが演じられるのか? 

 そして、どの選手が勝利を呼び寄せるのか? 注目されます。

▼伝説の「スタンレーカップゴール」から49年!

 この両チームが顔を合わせたファイナルと言えば、殿堂入りを果たしているボビー・オア(元ボストンFW・現71歳)が1970年のSCFで披露した↓このゴール!!

 世界中のホッケーファンに伝え続けられ、TDガーデン(=ボストンのホームアリーナ)には、このシーンのモニュメントも設けられているほど知られたゴールを決められて、サヨナラ負けを喫して以降、セントルイスはSCFに勝ち進めずにいましたが、49年経った今季! ようやく頂上決戦まで勝ち上がったのです。

 ファイナルを戦う両チームのホームタウンは、ともにアメリカの中でも人気の高いビールメーカーのお膝元。

 おいしいビールを飲むことができるのは、ボストン? セントルイス? どちらのチームのファンとなるのでしょうか。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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