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「見きわめる目と傾ける耳」を持ったアイドル、SHINeeジョンヒョンとフェミニストとの対話

韓東賢日本映画大学教員(社会学)
日本でも人気の韓国のアイドルグループSHINee。中央がジョンヒョン(写真:伊藤 真吾/アフロ)

「私は女性嫌悪者でもなく、女性卑下発言をしたこともありません」

日本でも人気の高い韓国の男性アイドルグループSHINeeのジョンヒョンが7月11日、自身のTwitterにinstagramへのリンクで次のような文章を載せた。

小さなことに大きな反応をしてはいけないと思って生きています。また私の過ちを指摘する人の視線やその考えを正確に理解し、誤った私の考えを正していくのが、学ぶ人生の基本だと思います。私がこの文章を上げる理由は、母と姉を持つひとりの男性として、私が女性嫌悪者だとか女性卑下発言をしたという話が出回っているからです。これは事実ではなく、そのような話が出回っていることを認知した状態で黙っていたら、人によっては私が女性嫌悪者だとか女性卑下発言をした人だと思ったり、それが固定化されてしまうこともありえますが、それは私の人生にとってはとても大きな問題であり、回復できない汚点となるでしょう。

私は女性嫌悪者でもなく、女性卑下発言をしたこともありません。

もし私の話が誰かに不快感を与えたのだとすれば、それがどの部分であったのか正確に知りたくてこのようにメッセージを送っています。ラジオで音楽の話をしていて女性は祝福された存在だと話しました。関連する発言はこの後続けてSNSにアップします。

続けてアップされたのは6月25日に、ジョンヒョンがパーソナリティを務めるMBC FM4Uの「青い夜、ジョンヒョンです」というラジオ番組内で交わされた、ゲストの女性歌手ナインとのやり取りの文字起こしである。

ジョンヒョン(以下、J)「ああ、なんというか、祝福された存在じゃないですか、女性は」

ナイン(以下、N)「(驚いて)そう思います?」

J「僕はそう思います」

N「どうして?」

J「すべての芸術家にもっとも大きなインスピレーションを与える…」

N「あ、ミューズ?!」

J「存在が、僕は女性だと思います」

N「面白いですね」

J「芸術家にとってとても…すべての詩人に詩を書かせ、すべての画家に絵を描かせ…」

N「カッコいいですね、そういう風に言うと(笑)」

J「すべての歌手に歌を歌わせる…」

N「そうですね。でも私はちょっと違うことを思うのですが」

J「はい」

N「私は、私自身が曲を書いて歌を歌う女だから」

J「そうですね」

N「男性の立場からはそういう風にミューズとして女性をまなざすことができるけど、女性の立場として芸術をしているから、ちょっと、その、なんというか…、その視線とは少し違うとは思います」

J「そうですね」

N「小さいころは男がうらやましいとよく思いました。男性が歌って音楽をするととてもよく見えて、女性として何かをアピールするのが難しいのが音楽だなって、そういうこともかつてよく思いました」

J「あ…、その意見に僕も同意します」

N「わかりますよね?」

J「何を言っているのか、正確にわかります。それはたぶん世界中にある雰囲気であって、ひとつの国だけの問題ではないと思います。でも、逆に言うと、それだけ女性が愛される存在だということでもあると、わかってほしいなとも思います」

N「わかりました。本当にカッコいいこと言うね(笑)」

J「世界平和が実現したかのようですね。青い夜で」

J&N「(笑)」

さらに、ジョンヒョンはTwitterに連投する。

ジョンヒョンはこの後、これを受けてTwitterに「誰かをミューズとみなすときには、自然とその対象の特定の要素を取り出し、それ以外を消去するプロセスを経ることになります。それは一種の対象化で人を物のようにみなすことであり、必然的に人間性を脱色してしまうことなのだという自覚が、芸術家には必要なのではないかと思います」などとメンションを寄せた、フェミニストを自称するハンドルネーム「チェン」さんに直接DMを送り、対話を重ねた。

そして後日、チェンさんはジョンヒョンの許可を得てそのやり取りを公開した(やり取りを見る限り、彼はむしろ公開を望んだように見える)

同情や美化が、差別につながることもある

今回のケースをそこに含めるのは困難かもしれないが、これを読み、「差別」という問題について考えるためのヒントになると思った。私も授業や研究で差別の問題を扱うことが多い。

まず、ここで確認しておきたいのは、差別は個人の心の問題ではなく、カテゴリーごとの線引きにもとづいた上下の権力関係が張りめぐらされた社会構造のもとでの、行為や発言の位置づけの問題である。

そして、古典的な差別である序列化(見下し)、そして差異化(遠ざけ)に比べて、平等を装った同化(無視)や、むしろ配慮しその価値を称揚する同情や美化(特別扱い)が、たとえ悪意がなく、無意識的にでも、他者化や客体化、蔑視、要は差別につながってしまうこともある、というのはなかなか理解しにくいことだ。同化、美化や同情は、かつては序列化や差異化に対抗し、対応するためのロジックでもあったからだ。前述したように、実際、今回のケースを明らかな差別とみなすのは困難だろう(紹介する「対話」でもそのように指摘されている)。

とはいえ歴史的に構築されてきた構造的な不平等が存在し、そこへの異議申し立てによって「差別」が可視化されてきた以上、このようなコンフリクトを避けることは難しい。人々は様々な線引きによってカテゴリー化されており、それによって成り立つ構造的な不平等のなかで生きているが、人はそこで「他者」とコミュニケーションすることなしには生きられないからだ。

そこで重要なのは、そのような構造のなかで自分のおかれた位置を見きわめ、異議申し立てについては耳を傾けること、そして、行為と発言について属人的なものと丁寧に腑分けし、決して「逆ギレ」しないことだと思う。その重要性は、より増しているのではないだろうか。正しい答えにたどり着けるかどうかはわからないし、正しい答えなどそもそもないかもしれない。でも、あきらめないことが人間の知性であり成熟だと信じている。

ジョンヒョンという人は、そのような目と耳を持っている人だと思った。そして対話を呼びかけたチェンさんの存在を含めて今回の出来事には、そのような知性と成熟を感じた。訳出はしないが、私が愛読している韓国のアイドル批評ブログには、このような記事も載っていた。

そういえばかつてこんな出来事もあった。

2013年、韓国各地の大学で学生たちを中心に「みなさん、お元気ですか?私は元気ではいられません、なぜなら…」という書き出しで、大統領選挙への国家情報院の不正介入や鉄道民営化をめぐる問題など、政治や社会の様々な問題について訴えたり批判する壁新聞を貼り出し、それがネットを通じて拡散していった「アンニョンドゥルハシムニカ(直訳すると「お元気ですか?」だが、「本当は元気ではないよね?」というニュアンスを含む)」ムーブメントが広がった際、韓国社会におけるセクシャルマイノリティへの差別を批判したカン・ウナさんという学生がいた。

当時、ジョンヒョンはその壁新聞の写真を自らのTwitterのプロフィール写真に設定し、カンさんに励ましのDMも送ったことで、話題となった。韓国で、当事者ではない芸能人がセクシャルマイノリティへの支持、支援を公的に表明するのはまれなことで、若者を中心に彼に対する共感の声は高まった。一方で、イルベという日本のネトウヨにあたる人々は彼を「サヨク」呼ばわりして攻撃し、一時は大きな騒ぎとなった。

ジョンヒョンとチェンさんのDMでのやり取り全文(訳は筆者)

チェンさんの許可を得たので、以下、公開されたジョンヒョンとチェンさんのDMでのやり取り全文を訳して紹介したい。少々長いが、可能な限り誤解を避けるため、全文を紹介してほしいというのがチェンさんの希望であり、私もそれには完全に同意である。ただし一部、顔文字や記号については省略した。

ジョンヒョン(以下、J)「こんばんは!SHINeeジョンヒョンです!」「遅い時間ですが、もしかしておやすみですか…?」

チェン(以下、C)「こんばんは、ジョンヒョンさん」

J「はい!」

C「遅い時間まで寝ずに起きていらしたんですね」

J「いつも寝るの遅いんですよ!!」

C「もしかして、つらい思いをしているのではないかと心配でした…」

J「送っていただいたメンションを見て色々な思いが」

C「そうなんですね」

J「わいてきて…」「まずは感謝を」

C「はい、私からも感謝いたします」

J「これは人によって焦点が違うので、もう少し理解を求めたいと思い、少しお話をうかがってみたいと思いました」「僕には母と姉がいて、生きている理由がその2人なので、このことについては、正確に理解をしなくてはならないと判断しました」「僕自身がです」

C「やはりジョンヒョンさん…!素敵ですね…!!」

J「それで…僕からうかがえることがあるのではないかと思って、遅い時間ですがこうして…」

C「いえいえ、メッセージくださりありがとうございます」

J「はい」

C「私も微力ながら、できるだけの誠意をもってお答えしたいと思います」

J「まずは、不快感をもたらした文章や単語はどれでしたか?」

C「まず、ジョンヒョンさんがアップしてくださった文章に…」

J「はい」

C「正確にどこかを指して『これは女性嫌悪的な発言です!』というようなものはなかったと思います。やはり文脈の問題だと思います」

J「はい」

C「私は放送すべてを聞いたわけではないので全体的な流れをつかむのは難しいのですが、私が把握できる限りでは」

J「ニュアンスの問題でしょうか?」「はい」

C「ゲストの方がアーティストであり」

J「はい」

C「専門職の女性としての苦労についてお話しされたいように見受けられました」

J「はい」「まずはお話をうかがってから、僕がそのときの状況を改めて説明いたしますね!」

C「記録されたジョンヒョンさんの会話のなかで、そこはそう重要ではないことのように流されてしまったようで、少し残念な思いがしました。私の印象では、ゲストの方が『女性は祝福される存在だと思う、すべての芸術家が女性からインスピレーションを得て創作をする』という話に、自分自身が女性という立場から、何らかの意見を言いたかったように見えました。またそれはおそらくジョンヒョンさんの発言に私が感じた問題意識ともそう大きく違わないように思います」

J「ええ」

C「では、まずは状況についてのお話を聞きます」

J「そうなんですね」「ゲストの立場についてはきちんと理解できた状況だったし、音楽を流していた放送されていない間に、交わした会話がありました」「女性アーティストとしての苦労を吐露され、その部分に対する意見には同意しましたし、放送のなかでもそうであったように記憶しています」「また」

C「はい」

J「すべての芸術家たちが女性からインスピレーションを得て創作をすると話した覚えはありません」「詩人に詩を書かせ、歌手に歌を歌わせ、画家に絵を描かせるというのは、そこに含まれる女性の何かがあるということであって、それがすべてだという意味で受け取られることは望んでいませんでした」

C「その文脈なら同意できます」

J「詩人は女性を対象に詩を書きますし、たとえば窓についても詩を書きます。歌手は女性によっても歌えば、男性によっても歌います。画家ももちろんです」「すべての芸術家、という部分が、もしかしたらひっかかったのでしょうか?」

C「私の場合は…、うん、女性のみが(他のもの、生命体に比べ)唯一ミューズとしてあがめられる傾向が古代から現在までかなりあったと思っていますし、そのような傾向が問題だと考えてきました」

J「女性も女性からインスピレーションを得ることができるし、男性も男性からインスピレーションを得ることができると思うのですが…すべての芸術家という言葉がすべて男性を指しているというような話も聞いて、それが普遍的な考えであるかどうかをお聞きしたいです」「インスピレーションの対象となるのが問題なんでしょうか??」

C「ジョンヒョンさんがおっしゃったように、何でもインスピレーションの対象になりうるし、それ自体は問題ではないと思います」

J「はい」「では…どの部分なのか…」

C「ただ、女性のみが唯一インスピレーションを提供する対象とみなされてきたという厳然たる歴史が存在し、現在もそうであるからです。この部分は問題であると思っています」

J「ああ、はい」

C「そのような文脈のもとでおそらくフェミニストたちは」

J「はい、僕もそれは問題だと思います」

C「ジョンヒョンさんのお話に驚かれたのではないかと思います」

J「ああ、僕が女性をインスピレーションの対象としてだけみなしているように思われたということなのでしょうか?」「それは、この間に蓄積されてきた歴史的、芸術的な記録を踏まえた場合、ミューズという単語の使い方がそのように含意されているということなのでしょうか?」

C「より正確には、女性たちがたやすくインスピレーションを与える客体の役割を担わされるという、性的に平等ではない現実に対してセンシティブではなく、これを無意識のうちに肯定したとみなされたかもしれないということです」

J「そんな」

C「はい(最後の言葉に対して)」

J「そのように受け取られるなんて」「はい、ありがとうございます」「絶対にそのような意図ではなく、僕は男性でも女性でも、あ、少し重い話をすることになりましたね。いずれにせよ、男性でも女性でも」

C「大丈夫です」「はい」

J「どちらかが優れているとは考えておらず、人間と動物にも上下があるとみなしていません」「僕がお話しした文脈は」

C「はい」

J「存在自体が美しく(それは男性も同様です)、その美を、それを文章でも絵画でも音楽でも表現できるので、ミューズという単語を使ったということであって」

C「(はい、私もそのような意味でそのような話をしたのだと思っていました)」

J「存在自体の美に対する話は、命を持つもの、持っていたものすべてに通じます。心臓が鼓動していなくても、命を持つものがあります」「思い出がこもった物がそうです」

C「そう思います…同感です」

J「いずれにせよ、そのような意味で、人間も存在そのものが優れているということはなく、成長を通じて優れていくことができると僕は信じています」

C「そのような考えを持っていらっしゃる方でうれしいです。私も同じ気持ちです」

J「いずれにせよ、あの日の会話が、音楽を重点的に扱っていた状況であったため、ひとことひとこと吟味することができずに、こういうことになったのでしょうか?」「もしくは、僕が成長過程で学んできた歴史や社会の雰囲気によって、女性を低く見る見方を身につけてしまったということなのでしょうか」

C「うん…それは難しい問題ですね」

J「このように」

C「私はジョンヒョンさんが女性を低く見ているとは思いません。基本的に人に対する礼儀を守り、努力する立派な人だと思ってきました」

J「きちんとお話をしたり」「はい」

C「当時の会話はラジオの収録中でしたよね」

J「はい」「ラジオは生放送だったと記憶しています」

C「生放送で…だとしたらよりいっそう、話を正しく進めていくうえである程度の難しさがあったと思います」「またそれとは別に、この国は人が正しく実践し生きていくことを困難にする社会だと個人的には思っています。自分より弱い立場にある人たちについてあまりにも知らず、どんどん無知になって、無礼を働くような場面に出会うことが少なくありません」「男性は女性に対して、健常者は障碍者に対して、家がある人はホームレスに対してよく知らず、そのため、それが善意であれ悪意であれ、無意識のうちに過ちを犯しうるのだとう思います」

J「はい」

C「加えて、過ちを犯すうえでは、その行動が善意であったのか、悪意であったのかは、重要ではないと思います。ジョンヒョンさんの場合は、過ちというにはあまりにもおおげさで、そうとは言えないくらいだと思いますけれど」

J「女性として、僕の話によって対象化されたような印象を受けて、場合によっては不快感を与えうるかもしれなかったということですね」

C「はい、そうだったと思います」

J「どのような文脈なのか、よくわかりました」「そのような意図ではなかったのに、残念ですね」

C「耳を傾けてくださってありがとうございます」

J「はい」

C「残念ですが、仕方のないことだとも思います」

J「僕は女性を尊重し、愛しています」「それは、僕の家族から学んできたことであり、僕の母、僕の姉と同じ性を持つ集団であるので、尊重や愛の気持ちは倍増します」

C「はい」

J「人間を平等にみなしますが、それは個人的な家庭教育や成長過程で形成された部分であって、自分としては誇らしく思っています」「でも、女性ではないという自分の立場から、美への感嘆や存在の祝福についての表現を、より丁寧に説明しなくてはならなかったということが、わからなかったようです」

C「そうなんですね…」

J「お話をして、ある程度、疑問が解消されたようです」

C「私の話が、少しでも助けになったのなら幸いですし、うれしいです」

J「もどかしいですね。チェンさんのように思われた方がたくさんいらっしゃるのならば、ひとりひとりにそのような意図ではなかったということをお話ししたいくらいです…」「女性も女性をミューズとして芸術をする場合があるし…男性も男性をミューズとする場合が少なくないのに」

C「そうですね…」

J「ミューズという単語そのものの閉鎖性も歯がゆいですね」

C「それは、今後の歴史が変えていかなくてはならない部分でしょう…」

J「辞書的な意味や歴史的な意味を踏まえたわけではなかったのですが」「はい」「楽しい会話でした」「誤解が解けたのなら、と思います」

C「はい、私も楽しかったです!」「私の考えでは、ジョンヒョンさんがご自身の意図を説明する簡単な文章をアップされるのもいいのではないかなと思います」

J「いいえ」「すでに多くの人々が悲しんでおり、自らアップする文章が増えると、これ以上は僕が抱え込むのが難しそうです」「みながそうでしょうが、色々と考えが多く、それを深く追求する性格なので」

C「ジョンヒョンさんのお立場では、本当に色々わずらわしいことも多いと思います…」

J「自分から改めて何らかの話をするというのは、そう簡単ではありません」「でも今回のことは」

C「はい、理解しています」

J「じっとしてはいられませんでした」「すべてを解明する機会はもうないでしょうが、いずれにせよ、女性嫌悪者という汚名をそそぐことはできたので、それで満足です」

C「気苦労が多かったでしょう…」

J「僕がこれ以上やると、ファンたちが悲しむと思います」「僕は社会運動家でも人権運動家でもないので…」「すべてを理解させるには困難がありますね!」

C「^_^」

J「いずれにせよ、ミューズという単語の使い方やあの日放送された部分の会話は、もう少し具体的に伝えなくてはならなかったということはわかりました」「チェンさんのお話によって、女性たちがどんな単語や文章に触れたときに僕が予想しないような不快感を抱くのか、わからなかったということを学びました」

C「ありがとうございます。そしてうれしいです」

J「チェンさんにも」

C「ただ私は、今回のことをきっかけにジョンヒョンさんも他の方々も、フェミニズム的な感受性について考える機会を得ることができたのならば、それで十分だと思っています。その分だけ世の中がよくなると思います」「はい」

J「謝罪いたします」

C「私には不要ですよ」

J「^^」

C「かつてカン・ウナさんの壁新聞をプロフィール写真にしていらしたのもそうですし」

J「傷をいやそうという、詩的な表現のつもりでした。それがより痛みを与えることになるとはわかりませんでした」「はい」

C「本当に私は…ジョンヒョンさんのような方がいらっしゃるのが幸いだとずっと思ってきました」

J「ふふ」

C「いつも支持し、応援しています」

J「いえいえ」「ありがとうございます」「学ぶことにあふれていますね、世の中は」

C「本当です…」

J「いずれにせよ、遅い時間にすいません」

C「私も気づかないうちに自分より弱い立場の人たちに暴力をふるっているかもしれないので、つねに意識し、勉強しなくてはならないと思っています」

J「早くおやすみになってくださいね」

C「いえいえ、私も夜に眠れないので…」

J「そうなんですね」「はい」

C「ずいぶん遅くなりましたが、ゆっくりおやすみくださいね」

J「あ、僕とのこの会話の内容は秘密にしなくてもいいですよ。もし後で引用したり伝えたい内容があれば、僕の名前を入れていただいても構いません」「今日の会話は」

C「配慮に深く感謝いたします」

J「いえいえ」「僕にとっても恥ずかしい内容ではないので、こう言っているだけです」

C「はい」

J「さようなら!」

C「はい、おやすみなさい!」

SHINeeの最新活動曲『View』。作詞はジョンヒョン。SHINeeのメインボーカルだが、最近は他のアーティストへの自作曲の提供も多く、作詞作曲の才能も認められている。

今年1月に発売されたジョンヒョンのソロアルバムから、自ら作詞作曲した『Deja-Boo』。Zion.Tがフィーチャリングで参加。

日本映画大学教員(社会学)

ハン・トンヒョン 1968年東京生まれ。専門はネイションとエスニシティ、マイノリティ・マジョリティの関係やアイデンティティ、差別の問題など。主なフィールドは在日コリアンのことを中心に日本の多文化状況。韓国エンタメにも関心。著書に『チマ・チョゴリ制服の民族誌(エスノグラフィ)』(双風舎,2006.電子版はPitch Communications,2015)、共著に『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』(2022,有斐閣)、『韓国映画・ドラマ──わたしたちのおしゃべりの記録 2014~2020』(2021,駒草出版)、『平成史【完全版】』(河出書房新社,2019)など。

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