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クラッチと走り、蹴る!多彩なプレーヤーとファンで賑わう、アンプティサッカー

佐々木延江国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表
関西の近藤碧。川崎との第3試合で 写真・矢野信夫

 天気予報をくつがえして秋晴れとなった富士通スタジアム川崎(神奈川県川崎市)で「日本アンプティサッカー選手権大会2017」が開催された。今シーズンを締めくくる全国大会は、11月11日から週末の2日間にわたりブロック予選と決勝リーグ、順位決定戦が行われ、9チームが激闘を繰りひろげた。

日本選手権は九州が優勝! 

 この大会の決勝戦は、日本代表に多くの選手を送り込む「FC九州バイラオール」と東京の「FCアウボラーダ」の対戦となった。4月にポーランドで行われた国際大会「AMP FUTBOL CUP 2017」に日本代表として参加し、結果は6カ国中3位。しかも九州の10番・萱島比呂は大会MVPにもなっている。世界上位といえる選手たちである。

決勝戦でFC九州バイラオール萱島比呂(左)とFCアウボラーダ期待の次期エース・秋葉海人(右) 写真・矢野信夫
決勝戦でFC九州バイラオール萱島比呂(左)とFCアウボラーダ期待の次期エース・秋葉海人(右) 写真・矢野信夫

 国内では宿敵同士による戦いで、先制点を取ったのは九州だった。後半に入って2点を加えた東京に、さらに九州が・・という展開で延長前・後半でも両チームが点をとり、PK戦を征して九州が優勝を果たした。

アンプティサッカーの楽しみ

 フィールドプレーヤーはクラッチ(杖)と健足の3本の脚で走り、ゴールは上肢障害の選手が守るルール。7人制サッカーである。

オフサイドはなく、キーパーはペナルティエリア内でのプレーのみが許されている。少年サッカーと同じ大きさの40×60メートルのフィールドで行われる。

4月のポーランドでの国際試合でMVPを受賞したFC九州バイラオールの萱島比呂のドリブル、決勝戦で 写真・矢野信夫
4月のポーランドでの国際試合でMVPを受賞したFC九州バイラオールの萱島比呂のドリブル、決勝戦で 写真・矢野信夫

 クラッチを使っての大きなフォームになるランニングは、激しく、パワフル。片足というハンデからは驚くべき速さでフィールドを横切っていく。すばしっこい独特な動きでボールに近づき、体幹から健足へ直結した力強い蹴りで狙い定めたところへ飛ばす。そのプレーにスタンドから歓声が湧く。

 「かっこよさや激しさで魅了することがトップスポーツでは必要な役割だが、勝つことよりも、楽しむこと。地域で長く続けることを大事にしたい」と、アンプティサッカーの運営に早い段階から関わってきたアフィーレ広島AFCの監督・坂光徹彦氏は話していた。

 それは、九州に惜しくも負けてしまったFCアウボラーダの2番・新井誠治が決勝試合の後に「勝負だから勝ち負けはあるが、たくさんのお客さんに最後まで喜んでもらえる試合にできたことが嬉しい」との言葉にもつながる気がした。

 プレーがしたい、ゲームメークがしたい、応援がしたい!という人々の熱気で週末のアンプティサッカーのスタジアムは賑わっていた。

「最後までお客さんに楽しんでもらえる試合ができた」FCアウボラーダ新井誠治 写真・矢野信夫
「最後までお客さんに楽しんでもらえる試合ができた」FCアウボラーダ新井誠治 写真・矢野信夫

(機材協力:株式会社ニコンイメージングジャパン)

国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表

パラスポーツを伝えるファンのメディア「パラフォト」(国際障害者スポーツ写真連絡協議会)代表。2000年シドニー大会から夏・冬のパラリンピックをNPOメディアのチームで取材。パラアスリートの感性や現地観戦・交流によるインスピレーションでパラスポーツの街づくりが進むことを願っている。

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