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藤井聡太JT杯覇者、4年連続決勝進出なるか? 11月2日、将棋日本シリーズ準決勝で広瀬章人九段と対戦

松本博文将棋ライター

 11月2日。愛知県常滑市「Aichi Sky Expo」において、第45回将棋日本シリーズ・JTプロ公式戦準決勝、藤井聡太JT杯覇者(七冠、22歳)-広瀬章人九段(37歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。


 本局の勝者は決勝戦に進み、渡辺明九段(40歳)と優勝を争います。


決勝進出をかけた一番

 藤井JT杯は本棋戦、3年連続で決勝に進出。準優勝、優勝、優勝と華々しい実績を残しています。本局に勝てば4年連続での決勝進出となります。

 広瀬九段は2019年に決勝進出。最後に渡辺現九段に敗れたものの、準優勝の経験があります。

 今期は両者ともに、1回戦はシード。2回戦で藤井JT杯は佐々木大地七段、広瀬九段は丸山九段に勝って準決勝に進んでいます。

 藤井JT杯と広瀬九段は竜王戦七番勝負やA級プレーオフ(名人挑戦者決定戦)など、大きな舞台で対戦を重ねてきました。これまでの戦績は、藤井11勝、広瀬3勝です。



2回戦、藤井JT杯-佐々木七段戦


 藤井JT杯と佐々木七段は9月21日、北海道札幌市でおこなわれました。対戦棋譜はこちらをご覧ください。


 藤井JT杯先手で戦型は角換わり腰掛銀。序盤は互いに間合いをはかりあう中で、佐々木七段は工夫をして待ちます。45手目、藤井JT杯は桂を跳ねて仕掛け、以後は佐々木七段が受け続ける進行となりました。

佐々木「序盤ちょっとこちらが注文をつけて、相手に動いてもらうっていう将棋だったんですけど。なんかすごいビシビシ指されて。『そうか、これもカバーされてるのか』と思って。封じ手(66手目)のあたりはがっかりしていたんですけど」

 藤井JT杯はうまく攻めをつなげていきます。対して86手目、佐々木七段が打った角が攻防によくはたらきました。

藤井「最初はこちらが攻めていって。飛車を取る展開になったんですけれど。ただそのあと、佐々木七段の△3四角っていうのが急所の一手で。その手を境に少し、自信のない局面が続いたのかなという気がしました」

 佐々木七段が反撃に転じて、終盤は勝敗不明。116手目、佐々木七段は受けるか攻めるか難しいところで、自陣に金を打って受けに回りました。このあたりのやり取りで藤井JT杯がポイントをあげたか、以後は少しずつリードを広げる形に。

 最後は129手で藤井JT杯の勝ちとなりました。

藤井「終盤は、ちょっと苦しいようなところもあったかなと思うんですけど。粘り強く指すことができたのかなと思います」

佐々木「中終盤、結構チャンスもありそうな局面だったんで。もう少し指しようがあったかなというのは課題ではありますね」


 両者の通算対戦成績は藤井10勝、佐々木4勝となりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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