中国、数百人の脱北者を北朝鮮に強制送還
北朝鮮は2020年1月、新型コロナウイルス対策として国境を封鎖し、自国民の帰国さえ許していなかった。そこには、中国で摘発され、強制送還を待つだけの脱北者も含まれていた。
しかし、昨秋の国境封鎖の解除に伴い、強制送還が再開された。その数は5〜600人から2600人と幅があるが、大量の強制送還であることに違いはない。
さらに先週、5〜60人が新たに強制送還されたと、韓国の支援団体が明らかにした。
脱北者の救出活動を行っているJM宣教会は、中国・吉林省の図們と琿春で勾留されていた50人ないしは60人の脱北者が先月26日、北朝鮮に強制送還された模様だと明らかにした。また、遼寧省丹東からも少数の人が強制送還された。いずれも韓国行きを試みたが失敗した人たちだ。
脱北時に最もよく使われるルートは、中国の東北地方から南西部の広西チワン族自治区南寧に移動し、ベトナムやラオスを経てタイにたどり着いて亡命申請を行うというものだ。しかし、中国当局は国境地帯での取り締まりを強化しており、昨年末から今年3月までの間に数十人の脱北者が逮捕された。また、別の脱北ルートである内モンゴル自治区でも、多くの脱北者が逮捕された。その内訳は、3月に南寧で37人、4月にベトナムとの国境地帯で7人、内モンゴルで16人だ。
また、韓国のTV朝鮮は、吉林省白山の収容所に勾留されていた200人の脱北者が先月末、数回に分けて強制送還されたと、韓国のNGO「キョレオル統一連帯」の張世律(チャン・セユル)代表の発言を引用して報じた。
米国務省が先月発表した「2023年国別人権報告書」は、世界各国の人権状況を記録した報告書だ。北朝鮮については、北朝鮮内部において政権側の不法・恣意(しい)的な殺人、強制失踪、拷問、児童労働など非人道的行為がはびこっていると指摘した。
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
また、韓国統一省の2023年版北朝鮮人権白書には、妊娠8カ月で強制送還された女性が、中国人の子どもを妊娠したとの理由で看守から分娩誘発剤を飲まされ、産まれた子どもを殺害された事例、強制送還後に勾留された女性が集結所で出産したが、直後に所長が中国の子どもだから殺せと指示し、看守が殺害した事例が収録されている。