NY金14日:米小売悪化も、ドル堅調で小幅続落
COMEX金8月限 前日比1.90ドル安
始値 1,157.00ドル
高値 1,159.10ドル
安値 1,151.80ドル
終値 1,153.50ドル
ギリシャ合意成立後の調整売りが上値を圧迫するも、米小売売上高が下値をサポートする形になり、小幅続落に留まった。
アジア・欧州タイムは前日の軟調地合を引き継ぐ形で、売り優勢の展開になった。投資環境がギリシャと中国問題の消化を進めて安定を取り戻しつつある中、金価格の急伸シナリオが後退していることが嫌気された模様。ただ、1,150ドルの節目を割り込むには至らず、全体的にポジション調整中心の小動きに終始した。ギリシャ後の相場テーマは米利上げ時期になると見られるが、ここ最近はギリシャと中国問題に集中していた向きが多かったことで、当面は経済指標や要人発言などから判断材料を積み重ねたいとの慎重ムードが広がった模様だ。
こうした中、本日は6月小売売上高が発表されたが、前月比-0.3%と低調な数値に留まった。自動車を除いても-0.1%であり、個人消費部門の低調さが警戒される状況になっている。前月が+1.0%(速報は+1.2%)となっていたため、一時的な下振れの可能性も十分にある。しかし、小売の伸び悩みは米連邦準備制度理事会(FRB)も米経済の懸念材料として指摘していたことであり、利上げ判断への影響が警戒されることになる。実際に同統計発表直後にはドルが急反落し、金相場も安値からの切り返しをみせている。
もっとも、これで利上げ着手の流れが変ったとまで見る向きは殆どおらず、その後はドルが改めて買われた動きと連動して、金相場も小幅ながらマイナスサイドに沈んでいる。
このままギリシャと中国リスクの収束が進めば、金価格にとっては厳しい時間帯が続くことになろう。対外部門の要因を背景に利上げを見送ることが難しくなる中、米金融政策の正常化プロセスが改めて金相場の上値を圧迫し易い。15日にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言も控えているが、10日の講演内容では従来よりもハト派色が薄まった印象の強い発言を行っており、その流れで9月利上げの可能性もイメージさせるような動きが見られれば、1,150ドル割れが決定的になる可能性も十分にある。議長は景気に対する慎重姿勢そのものは維持する見通しだが、改めてタカ派色が強まるような動きがなければ、年初来安値(1,141.60ドル)割れから一段安を模索する展開が想定できる。