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大谷翔平、2ケ月間で2度もの「マメ」降板はMLB公式球縫い目の変化のせい?

豊浦彰太郎Baseball Writer
6日のロイヤルズ戦に先発するも、マメの影響で降板した大谷翔平(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

エンジェルスの大谷翔平は現地時間6月6日のロイヤルズ戦で先発したが、右手中指のブリスター(マメ)の影響により4回で緊急降板した。4月17日のレッドソックス戦に次ぐ今季2度目の「ブリスター降板」だった。

マメに悩まされているのは大谷だけではない。ブルージェイズのマーカス・ストローマンなどは、「長年ピッチャーやってるけどブリスターなんてできたことがなかった。それなのに去年から散々悩まされている」とコメントしている。実は、ブリスター多発現象はメジャー公式球の変化との関連性がここに来て指摘されている。

6月6日付けスポーツサイト「The Athletic」は、物理学者のメレディス・ウィルス教授がMLB公式球を綿密にチェックした結果、現在の使用球は2014年以前のものに比べて中の詰め物が少なく、縫い目が若干厚くなっていたことを発見したと報じた。昨季、メジャーリーグの年間本塁打数は史上最多だったが、やっぱり、使用球は「ドーピングボール(言い過ぎか?)」だったようだ。これらの特徴は飛距離を伸ばすことに繋がるという。詰め物の少なさはともかく、 縫い目が厚くなるとボールがよく飛ぶというのは意外な感じもするが、これにはバットに当たった際にボールの形状が変化することを抑制する効果があり、結果的に素直な回転が与えられ飛距離が伸びるのだそうだ。しかしながらサプライヤーのローリングス社には意図的なものはなく、製造上のエラーであったという。これでは、薬物検査で陽性反応を示した選手が「意図的に摂取したつもりはない」と言い放つようなものだが。

また、ウィルス教授はそれ以外にも重要な指摘をしている。それは、縫い目が厚くなると投球の際の指への抵抗が増えブリスターが出来る要因になるということだ。これは素人でも関連が分かりやすい。大谷がこの2ケ月間に2度もこの症状に苦しめられたのも、使用球の変化と大いに因果関係がありそうだ。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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