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DVの心理学:加護亜依さんへのDV容疑で夫を逮捕の報道から考える:すてきな夫婦恋人になるために

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)

■加護亜依さんへのDV容疑で夫を逮捕

傷害の疑いで逮捕されたのは元「モーニング娘。」メンバーで、タレントの加護亜依さんの夫・加護陽彦容疑者(47)。警視庁によると加護陽彦容疑者は先月12日、東京・六本木の自宅マンションで、妻の加護亜依さんに足蹴りをするなどの暴行を加え、打撲など全治10日間のケガをさせた疑いがもたれている。

出典:加護亜依さんへのDV容疑で夫を逮捕 日本テレビ系(NNN) 6月9日

直接の容疑は5/12の暴行ですが、DV(ドメスティック・バイオレンス)と報道されているということは、日常的に乱暴な言動もあったのしょうか。身体的暴力は傷害罪になりますが、心理的暴力も犯罪です。

■DV(ドメスティック・バイオレンス)とは

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、夫婦や恋人間の暴力のことですが、その暴力には様々な形があります。

身体的暴力は、殴る蹴るといった暴力。

経済的暴力は、金遣いが荒かったり、生活費を与えないなどの乱暴。

社会的隔離は、電話や外出の制限など。

心理的暴力は、厳しすぎる監視、暴言、恫喝、脅し、侮辱、無視などのひどい言動。

性的暴力は、性交の強要や性的侮辱などです。

昔であれば、夫が妻を殴ったり、侮辱することは当然視する人もいましたが、現在ではりっぱな犯罪です。未婚の恋人間の暴力もデートDVと言われます。DVは、パートナーを力によって支配する行為です。DVが社会問題化する中、DV防止法が2001年に施行されていました。

男女間暴力に関する2015年発表の内閣府調査によれば、女性の4人に1人が被害経験者です。10人に1人は何度も受けています。さらに被害者の1割が命の危険を感じたと答えています。それなのに、被害者の中の誰かに相談した人は、5割だけでした。

男性も16%が被害経験者で、その7割が誰にも相談していません。

警察発表によれば、昨年平成26年には、DVは59,072 件発生しています(警察の認知件数)。

■DVと心の問題:加護亜依さんの場合は?

夫婦恋人間の暴力、DVは、複雑な心理があります。社会心理学的には、人間関係の病(歪み)です。5/27の別報道によると、加護さんはトラブル続きの夫と一度離婚の意志を発表した後、復縁し、仲良く歩いている姿が目撃されています。

加護が離婚する意向をブログで明かしたのは、4月3日~しかし~

「加護が娘を連れて、離婚を突きつけたはずの夫と一緒にいるところが目撃されている。~ダンナと仲良さそうにしているというからワケが分からないよ」~

つんく♂(46)も~離婚して娘と2人で再スタートを切るのであれば、何らかの形で助ける気持ち~

「加護は人より少し寂しがり屋なだけ」という声も聞かれる。だが“復縁”が事実だとすれば、念願の芸能界復帰は遠のいてしまうと言わざるを得ない。

出典:加護亜依がトラブル夫とまさかの復縁 東スポWeb 5月27日

そして今度は、加護亜依さんが夫の暴力を警察に通報しています。

今回の被害者の加護亜依さんを責めているのではありません。誰であれ、DV被害者の心は揺れます。

一般にDVは、暴力のある爆発期、やさしいハネムーン期、張り詰めた緊張期のサイクルを繰り返します。殴られた後にやさしくされることなどを繰り返されると、人の心は支配され逃げられなくなります。

さらに、容疑が事実で二人の間に暴力があったとすれば、加護さんだけでなく幼い娘の心も傷ついています。有名人のDV報道は、社会的影響も大きいでしょう。正しい裁判とケアが行われることが、社会全体にとっても大切なことだと思います。

■すてきな夫婦恋人になるために

暴力をふるう男性の中には、歪んだ男性役割意識を持つ人もいます。男がいばって、女を支配して当然だと思っています。あるいは、心の底に強い不安があって、その結果として激しい嫉妬心を燃やす場合もあります。また、自分がこんなに怒って暴力を振るうのも、みんなあの女のせいだと、しばしば責任転嫁をします。

被害者女性のほうも、たとえば過剰な責任感によって、私がいなくなったらあの男はダメになると思い、離婚できない人もいます。暴力さえ振るわなければ良い人だと、自分自身の行動を納得させようとすることもあります。

でも、こんな人間関係は歪んでいます。勇気を持って離れることも必要です。

暴力後の「ハネムーン期」のやさしさも、本当のやさしさではありません。

「DV男にとって、女性は物です。自分の愛車のようなものです。~その自動車のような女性が、思いどおりにならないと、男性はブチキレて、暴力をふるいます。~ところが我に返ると、自分の大切な「物」が傷ついています。彼は、あわてて車の修理をするように、女性に優しくし、手当てをするのです。」(「力と支配から愛と信頼へ:幸せな恋人・夫婦になるための心理学」:Yahoo!ニュース個人有料:碓井真史

暴力で支配される関係ではなく、お互いに健康な心を持って、愛と信頼の関係を作って行きましょう。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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