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世界のかじ取りをしているのは米中どちらか、世界各国の人に聞いてみました

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 時代は米ソから米中へ

米ソ冷戦構造が終結し、いわゆるスーパーパワーと呼ばれる国はアメリカ合衆国のみとなり、その後中国やEUが台頭しつつある。昨今の世界情勢に関して庶民の視点では、米中どちらがかじ取りをしているように見えるのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査機関Pew Research Centerが2015年6月付で発表した世界規模の調査結果「Global Publics Back U.S. on Fighting ISIS, but Are Critical of Post-9/11 Torture」を元に確認していく。

スーパーパワー(超大国。ずば抜けた経済力や軍事力、その他影響力を持ち、大きな存在感を有する国)として昨今の世界情勢の上で挙げられるのは、EU(厳密には国ではないが)やロシアと共に、アメリカ合衆国、そして中国。中でも二強となる米中双方に関して、どちらがより強い影響力を持つと「各国の国民は」思っているだろうか。選択肢として「すでに中国はアメリカ合衆国にとって代わって、世界トップの座にある」「近い将来中国はアメリカにとって代わって、世界トップの座につく」「中国がアメリカ合衆国にとって代わることは無い」「その他」を挙げ、一つを選んでもらった結果が次のグラフ。

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↑ 回答者自身の考えとして、アメリカ合衆国と中国の世界の上での立ち位置はどちらに近いか「すでに・近い将来中国はアメリカにとって代わる」「中国はアメリカにとって代わることは無い」(2015年春)
↑ 回答者自身の考えとして、アメリカ合衆国と中国の世界の上での立ち位置はどちらに近いか「すでに・近い将来中国はアメリカにとって代わる」「中国はアメリカにとって代わることは無い」(2015年春)

すでにアメリカ合衆国国民自身も46%が「将来・すでに中国がアメリカにとって代わる」と考えている。それは有り得ないとする意見の48%とほとんど変わらない。カナダではすでに過半数が中国へのシフトを想定している。

欧州ではフランスの2/3をはじめポーランドの46%にいたるまで、すべての国が「アメリカは今の立場を維持し続ける」よりも「中国が取って代わる」の回答率が高い状態。むしろ現在対立状態を深めつつあるロシアの方が、中国シフトの回答率が低いほど(ただし分からないなどの意見留保回答率が高い)。

中東でも状況は欧州とほとんど変わらず。東南アジアではほぼ二分されており、中国自身やオーストラリア、韓国、パキスタン、マレーシアなどで中国シフトが優勢、インドネシアやフィリピン、日本、ベトナムではアメリカ優勢となっている。両国の優勢感よりは、両国に対する総合的な感情が多分に影響されている雰囲気はある。南米やアフリカでも中国シフト派がやや多め。むしろ中国が攻勢をかけているはずのアフリカにおける値が低めなのが意外。

世界全体としての中央値では中国がすでにアメリカに対して優位にある、あるいは将来優位に立つとの意見が48%、アメリカが優位を維持し続けるとの意見が35%で、中国シフトを想定している人の方が多い結果となっている。

なお中国シフト派は「すでに取って代わっている」「近い将来取って代わる」の合算。これについて「すでに取って代わっている」のみを抽出したのが次のグラフ。要はその国の国民感情として、すでに中国はアメリカ以上の超国家であるとして認識している人の度合いを意味する。

↑ 回答者自身の考えとして、アメリカ合衆国と中国の世界の上での立ち位置はどちらに近いか「すでに・近い将来中国はアメリカにとって代わる」「中国はアメリカにとって代わることは無い」(2015年春)(「すでに中国はアメリカにとって代わっている」の回答者率)
↑ 回答者自身の考えとして、アメリカ合衆国と中国の世界の上での立ち位置はどちらに近いか「すでに・近い将来中国はアメリカにとって代わる」「中国はアメリカにとって代わることは無い」(2015年春)(「すでに中国はアメリカにとって代わっている」の回答者率)

中国自身でも13%、アメリカ合衆国では10%に留まっているが、イタリアでは26%、トルコで23%、ペルーでも23%など2割を超えている国が多数見受けられる。特に中東や南米諸国で多めの値が出ている。各国と中国との経済的結びつきの度合いが透けて見えるようだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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