NY金30日:ギリシャ情勢に対する関心薄れ、戻り売り優勢に
COMEX金8月限 前日比比7.20ドル安
始値 1,179.80ドル
高値 1,180.00ドル
安値 1,165.40ドル
終値 1,171.80ドル
ギリシャ情勢を巡る混乱状況が続いているが、金市場に対する退避需要を創出することに失敗しており、前日のじり安傾向を維持している。
6月末のギリシャの国際通貨基金(IMF)向け債務支払いはデフォルト(債務不履行)がほぼ確実視される状況になっているが、マーケットは比較的冷静な反応を示している。欧州株に対しては強力な売り圧力が観測されているが、アジアや米国株式市場は落ち着きを取り戻しており、リスクオフの動きが本格化することはなかった。金相場に対してはなお瞬間的に買いが入る場面も観測されているが、為替がドル高気味に推移したこともあり、終日戻り売り優勢の展開になっている。
ギリシャ政府はIMFに対して返済期限の延長を要請するなど、デフォルトは確実な情勢になっている。ただ、IMF内からはデフォルトではなく債務支払いの延期との声も聞かれるなど、現時点ではこれをきっかけに大きな動きが生じるようなリスクは限定されている。ユーロ圏財務相会合は何ら進展が見られないと報告しており、7月1日にはギリシャの提案について電話会談を行うのみとされている。7月4日のギリシャ国民投票の結果次第の状況となる中、現時点で大きな動きを見せるのは難しい状況になっている。
もっとも、いずれにしてもギリシャ単独の危機に留めることが可能との楽観的な評価が優勢になる中、「安全資産」に対するニーズは高まっていない。日本時間1日07:00にはギリシャのデフォルトが正式に確定したが、アジアタイム早朝の金相場は特に目立った反応を示していない。なお、週末のギリシャ国民投票の結果次第で一時的に荒れた相場展開になる可能性は残されているが、ギリシャの混乱がユーロ圏全域に波及していくようなことがなければ、金相場に対する影響は限定的だろう。ギリシャ情勢に対して冷静な評価が優勢になっていることが、リスクオフイベントの終了を告げつつある。このまま欧州当局者がギリシャ危機をコントロールできれば、次は米指標から改めて米金融政策の正常化プロセスを織り込んでいけるのかが問われることになる。