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フラボノイドとサポニンの【抗酸化作用】と【抗炎症作用】に注目!老化や病気の予防に期待

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:イメージマート)

【フラボノイドとサポニンがもたらす健康効果】

皆さんは、【フラボノイド】や【サポニン】という言葉を聞いたことがありますか?これらは植物に含まれる天然の化合物で、私たちの健康に様々な恩恵をもたらしてくれる可能性があるのです。

フラボノイドは5000種類以上もある、ポリフェノールの一種です。主に果物や野菜、ハーブ、お茶などに含まれています。一方、サポニンはトリテルペンやステロイド骨格を持つ配糖体で、豆類や根菜類に多く含まれます。どちらも植物を病原菌や害虫から守る役割を担っています。

最近の研究で、フラボノイドとサポニンが【抗酸化作用】や【抗炎症作用】を示すことが分かってきました。これは活性酸素を中和し、炎症を抑えることで、老化や生活習慣病の予防に役立つ可能性を意味します。例えば、お茶に含まれるカテキン類や大豆のイソフラボンなどが注目されているのです。

また、一部のフラボノイドやサポニンには抗がん作用や血管保護作用、肝臓を守る作用なども報告されています。さらに、皮膚の健康維持にも関わりがあるようです。紫外線によるダメージを軽減したり、肌の保湿力を高めたりする効果が期待できるのです。

ただし、天然由来とはいえ、過剰摂取には注意が必要です。特に妊娠中の方や持病のある方は、医師に相談することをおすすめします。また、サプリメントなどで濃縮されたものを利用する際は、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。

【臨床試験で示されたフラボノイドとサポニンの効果】

フラボノイドやサポニンの健康効果を調べるため、様々な臨床試験が行われてきました。例えば、慢性静脈不全の患者さんにフラボノイド配合薬を投与したところ、むくみや痛みが改善したという報告があります。また、更年期障害の女性にイソフラボンを摂取してもらったところ、ほてりなどの症状が和らいだという結果もあります。

一方、サポニンについては、糖尿病網膜症や脳梗塞の予防効果を示唆する臨床試験データがあります。また、エビデンスレベルは高くありませんが、静脈瘤やEDの改善例も報告されています。

ただし、臨床試験の多くはまだサンプル数が少なく、試験デザインにも課題があるものが少なくありません。確実な効果を実証するには、より大規模で質の高い臨床試験を重ねる必要があるでしょう。

【今後の展望と研究課題】

フラボノイドやサポニンの研究は、この10年で大きく進展しました。しかし、まだ解明すべきことは多く残されています。特に、体内動態や複雑な作用メカニズムの理解は不可欠です。個々の化合物の薬理作用だけでなく、植物エキス全体としての効果や、他の成分との相互作用なども検討していく必要があるでしょう。

また、ヒトでの有効性と安全性を確認するための臨床試験を、より大規模に、より長期間にわたって実施することが求められます。用量設定や投与期間の最適化、副作用の検出などが課題となります。

さらに、腸内細菌叢との関わりも注目すべきポイントです。フラボノイドやサポニンの一部は、腸内細菌によって代謝を受けることが分かっています。これが体内動態や薬理作用に影響を及ぼす可能性があるのです。腸内フローラとの相互作用を解き明かすことで、新たな創薬のヒントが得られるかもしれません。

参考文献:

- Panche A.N. et al., Flavonoids: an overview. J Nutr Sci. 2016; 5: e47.

- Güçlü-Üstündağ Ö & Mazza G., Saponins: Properties, Applications and Processing. Critical Reviews in Food Science and Nutrition 2007; 47(3): 231-258.

- Martinez-Zapata MJ et al., Phlebotonics for venous insufficiency. Cochrane Systematic Review. 2020; 11.

https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD003229.pub4/full

- Phytomedicine. 2023 Jan:109:154580. doi: 10.1016/j.phymed.2022.154580.

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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