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ロシア軍、ドローン迎撃システム「Stupor」でウクライナのドローン機能停止:2018年W杯でも使用

佐藤仁学術研究員・著述家
Stupor(エリハ・マグニア提供)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

そして両軍ともにドローンの迎撃を徹底的に行っている。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。

ロシア軍がドローン迎撃に使用しているのがロシア製のドローン迎撃システム「Stupor」。「Stupor」はジャミングで上空のドローンを迎撃する。いわゆる"ソフトキル"だ。約1.2メートル、5.5キログラムで充電式で4時間利用できる。2017年にプロトタイプが公開され、2018年にロシアで開催されたFIFAワールドカップでの上空からのドローン対策にも利用されていた。

大型の攻撃ドローンはジャミングで迎撃することは難しいので、地対空ミサイルなどを発射して撃破する方が効果的である。小型の監視・偵察ドローンへジャミングを行って機能停止させている。小型の偵察ドローンは、ジャミングでも機能停止できるが、最近の偵察ドローンには手榴弾などの武器や弾薬が搭載されていることが多いので、機能停止するだけで上空からドローンが落下して地上で爆発する危険もある。そのため、できるのなら上空で撃破、いわゆる"ハードキル"で破壊しておいた方が良い。

ウクライナ軍も同じ様なドローン迎撃システムを用いてロシア軍のドローンを撃退している。戦場では上空のドローンはすぐに探知して迎撃する必要がある。

監視・偵察ドローンに居場所を察知されると、その場所をめがけてミサイルが大量に発射されるので小型の偵察ドローンでも検知したらすぐに破壊したり機能停止させたりする必要がある。地上からドローンを迎撃することが安全保障上、非常に重要になっている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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