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狙われない家になるために何を+αするべきか 強盗グループは特殊詐欺のノウハウを活用 #専門家のまとめ

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:イメージマート)

8月下旬から現在に至るまで、一般家庭を狙う強盗事件が相次いでいます。今後も被害が広がる可能性があります。家の防犯対策をしっかりさせることはいうまでもありませんが、それだけでは足りません。どんなに強固な防犯対策を施しても、実行犯らが闇バイトで募られた捕まってもよい存在であるために、指示役の命令一つで襲撃してくる恐れがあるからです。狙われない家になるために何が必要なのでしょうか。最新の報道から考えます。

ココがポイント

一連の強盗事件で、指示役が使っていたアプリのアカウントの一部が、特殊詐欺事件で使われていた疑いがある
出典:朝日新聞デジタル 2024/10/19(土)

「闇バイト」を実行役にした強盗事件(中略)8月以降、北海道、東京、埼玉、神奈川、千葉、栃木の6都道県で計17件に達した
出典:読売新聞オンライン 2024/10/18(金)

下見役は必ずいる(中略)自宅の防犯対策を強化することとあわせて、不審な人物や電話があった情報を地域間で共有することが大事
出典:tvkニュース(テレビ神奈川) 2024/10/18(金)

事件前から、不審な人物による訪問などが相次いでおり(中略)「水漏れの点検をさせてほしい」とスーツ姿の男が訪ねてきた
出典:読売新聞オンライン 2024/10/19(土)

エキスパートの補足・見解

一連の強盗事件では、特殊詐欺を行っていたグループがそのノウハウを用いて事件を引き起こしたと考えられます。つまり詐欺対策を+αせずに、今回の強盗襲撃は防げないということです。

犯罪グループの手元には、闇名簿があります。それをもとに詐欺グループは詐欺を行うための下準備の電話を次々にかけます。最新の個人情報を入手すると、その人に合わせたストーリーで詐欺の本電話をかけます。そのため一定の地域で被害が多く起こります。今回の強盗も数か月のうちに次々に犯行が行われている所から、闇名簿をもとに、強盗の下準備のアプローチをした上でターゲットを絞り、犯行をしていることが考えられます。

詐欺グループの特徴は役割分担です。つまり、闇バイトで集められた実行役だけでなく、家の情報を集める「下見役」もいるということです。なぜなら家の状況がわからなければ、指示役は家への侵入の方法などを指示できないはずだからです。つまり下見をいかにさせないかが、狙われない家となるためのポイントになります。不審人物による突然の訪問には対応せず、個人情報は教えない。不審者情報は地域で共有するといった三つの対策を加味した上での防犯が必要です。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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