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二人以上世帯でひとりが毎週週刊誌を買っていると、同時に非購入者は11人以上いる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 二人以上世帯の購入頻度で一人が毎週週刊誌を買っていたとしたら…

家計のお財布事情の詳細が分かる調査の一つが総務省の家計調査。その最新調査結果(2016年1月分)をもとに、昨今の雑誌購入事情を確認する。二人以上世帯で一人が雑誌を毎週買っていた場合、何人の非購入者が居るのだろう。

2016年1月時点で二人以上世帯の世帯平均構成員数は3.00人。そこで新聞以外においては一人あたりの額なども計算し、合わせてグラフ化する。新聞を除いたのは、新聞は通常世帯・月単位で購読(し回し読み)するため、一人あたりの数字を出しても意味を持たないからである。

↑ 2016年1月における二人以上世帯の平均支出金額
↑ 2016年1月における二人以上世帯の平均支出金額
↑ 2016年1月における二人以上世帯の”一人当たり”平均支出金額
↑ 2016年1月における二人以上世帯の”一人当たり”平均支出金額

「購入世帯数」は純粋に購入者が一人でも居た世帯の割合。1世帯内で複数の人が購入していても、購入世帯としては1件としてカウントする。そして「世帯購入頻度」は世帯単位での月あたり購入頻度。例えば1月中に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。

これらのデータから読みとれる(2016年1月時点における)傾向は次の通りとなる。

・「世帯購入ルートで」一人も新聞を読んでいない(二人以上の)世帯は1/3以上に達している。

・雑誌や週刊誌を一人も購入しない世帯は約4/5。購入する人がいる世帯は、月2回近く買い求めている(33.0÷17.9≒1.84)。

・一人当たりの週刊誌や雑誌購入金額は85円67銭。通常の週刊誌は200円後半から300円はするので(例えば週刊少年サンデー・週刊少年マガジンは共に税込270円)、平均して月に1冊も買われていない計算になる。4か月でも1冊強(2冊には及ばない)。世帯レベルで計算しても、ようやく1冊/月程度。

新聞は月ベースで頼んで配達してもらう以外に、駅売りなどで時々購入しているケースもある。その場合、家計には把握・算出されない場合が多い(サラリーマンの場合は自分のこづかいで買うため、家計としての計上は難しい)。そのため「新聞購入」のみを確認する今件データと比べると、実情ではもう少し上乗せされることになる。

とりわけ雑誌の購入額・頻度の少なさには、あらためて驚かされる。仮に週刊誌を1誌、毎週購入したとすれば、1か月で1100円程度(上記の週刊少年マガジンやサンデーを購入したとして、270×4=1080円)。二人以上世帯の構成員に限定されるが、週刊誌を定期購入している人が1人いれば、その人に連動する形で11.6人の「1か月間雑誌や週刊誌は何も買わない」が居て、ようやく平均値に達する計算になる。

↑ 二人以上世帯の構成員の場合、一人が週刊誌を毎週1冊ずつ買っていれば、他の11.6人は一冊も買っていない計算
↑ 二人以上世帯の構成員の場合、一人が週刊誌を毎週1冊ずつ買っていれば、他の11.6人は一冊も買っていない計算

今件は二人以上世帯のみの話で、趣味趣向への購入性向が高い単身世帯では、もう少し上乗せした値になる。とはいえ、多分を占める二人以上世帯の実情としては、目をそらしたくなる現実でもある。

ここまで雑誌や週刊誌への出費が減っている理由としては、インターネットやモバイル端末の普及による、情報取得元の多様化が挙げられる。移動中における「時間つぶし」のツールが多数用意され、週刊誌や雑誌を選ぶ必要性が薄れた、優先順位が下がったのが大きな要因。通勤時間帯の電車を見回して、どれだけ週刊誌を読んでいる人がいるか、一方でモバイル端末の類を操作している人がいるか、確かめて見れば、その現状が良くわかるというものだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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