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東京から被災地へ祈りを向ける場所

今村久美認定NPO法人カタリバ代表理事

熊本地震から半年。

東日本大震災から5年半。

今でも静かに、東京から被災地へ一心に祈りを向ける場所があります。

東京都中央区の水天宮様では毎月11日午後2:46分、

東日本大震災復興祈願祭を行っています。

(「東日本大震災」という名称ですが、熊本地震のことも合わせて復興祈願をしています。)

私が代表を務める「NPOカタリバ」と「ハタチ基金」に対してご支援をいただいているご縁から、この取り組みを知りました。

“一人でも多くの方にこの取り組みを知って、足を運んでほしい”との思いから、感謝を込めてここに記します。

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薄曇りだった9月11日の日曜日。

3歳の息子を連れて、復興祈願祭に参列しました。

今年の春に新しくなったばかりの新社殿は、清々しい空気でいっぱい。

普段はじっとしていることが難しい年頃の息子も、厳かな雰囲気を感じ取ったのか、祈願祭が行われた30分間は集中して参列していました。

この祈願祭は、一日も早く東北および熊本の復興を祈念することと、震災の記憶を風化させないために執り行われています。

「復興の祈りと共に自然の脅威や災害の教訓を次世代へと伝えていく使命がある」と、宮司は語られています。

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参列者には全員、御神酒が配られます。

この御神酒はご参拝の皆様から寄せられた初穂料の一部を、

東日本大震災の被災地の子どもたちの成長に併せて支援を続けるハタチ基金へ、醸造元である株式会社一ノ蔵様を通してご寄付をいただいており、震災直後から絶えず支援の輪を繋げてくださっています。

震災から5年半経っても終わらない復興に、無力感を感じている大人たちも多くいます。子どもたちはそんな大人たちの背中を感じながら、日々成長を重ねています。今でも「震災後」が日常のままの人たちが被災地には残されていますが、世間では日毎に風化していきます。

しかし毎月11日午後2:46分に、被災地に想いを馳せている人たちが確かに存在するという事実は、私を勇気づけてくれます。

喧騒を忘れて本殿で祈りを向ける時間、

私自身も被災地の放課後学校「コラボ・スクール」を運営する身として、

全国から様々な人たちから多大なるご支援をいただいていることの有り難さを改めて実感し、粛然たる気持ちにもなりました。

毎月11日の午後2:46分。

宮司の芯の通った祝詞が本殿に響く時、参列者が静かに目を閉じる時、

遠く離れた東京からの祈りが、復興を目指す人々に届くことを願ってやみません。

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東日本大震災復興祈願祭

▼水天宮様HPより

毎月11日の午後2時46分より東日本大震災復興祈願祭を斎行しております。

復興の祈りと共に私たちは「自然の脅威や災害の教訓を次世代へと伝えていく使命」があるのではないでしょうか。

※祭典は、どなた様でもご参列いただけます。

認定NPO法人カタリバ代表理事

2001年にNPOカタリバを設立。高校生のためのキャリア学習プログラム「カタリ場」を開始。2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組む。「ナナメの関係」と「本音の対話」を軸に、思春期世代の「学びの意欲」を引き出し、大学生など若者の参画機会の創出に力を入れる。ハタチ基金 代表理事。地域・教育魅力化プラットフォーム理事。中央教育審議会 委員。著書に「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」(ダイヤモンド社、2023年)」

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