【京都市】地域の子どもたちへのご褒美 京の夏の風物詩 地蔵盆が始まりだしました プールやBBQも
京都を中心に近畿地方などで行われている「地蔵盆」。古くから地域や子どもの守り神として祀られている町内の地蔵さんを綺麗にしたり、お供物をして、子どもたちへのご褒美をする京の伝統行事です。
神仏とこの世が縁を結ぶ日とされる「縁日」ですが、地蔵菩薩さんの縁日は、旧暦7月24日で、地蔵盆は、お地蔵さんにお参りをする行事が地域で行われてきました。現在は毎年8月23日と24日となります。地域の事情によって前後することもあります。
地域の子育ては地域みんなでやろうということで、この日は子どもたちが主役。2024年8月17日に右京区太秦垣内町で開催されていた地蔵盆に偶然出くわしました。町内会の各組長さんらによって、路地奥にテントが設置されて、地蔵菩薩が祀られ、お決まりの提灯が吊るされていました。
子どもたちにお供えの後のお菓子やジュースなどが配られ、プールも設置されていました。猛暑の中でこれには子どもたちも大喜び。水しぶきを上げながら声を上げて楽しんでいました。夜にはバーベキューもあるといいます。
世話人の人たちの中で最長老の西村好弘さん(88歳)にお話を聞くことができました。こちらの地蔵菩薩は、元々、町内の三条通り沿いにあって、薬力地蔵さんで知られる常楽寺から招請したものだそうです。記憶にあるだけでも昭和17年(1942年)よりずっと前から行われていたのだとか。
地蔵盆自体の歴史は古く、室町時代に大流行したという記録もあるようです。天空を司る虚空蔵菩薩に対し、大地を司る菩薩が地蔵菩薩といわれます。末法思想が盛んだった平安中期以降、地蔵信仰が広まりました。地蔵菩薩がよだれかけや頭巾をしているのは、地獄にあって、賽の河原などで、当時は、逆縁の不孝とされて地獄行きとなりそうな幼児を救済したとの伝承にもとずいています。
地蔵盆が近づくと、地蔵さんの像を洗い清めて、新しい前掛けを着せ、化粧をするなどして飾り付けます。古くから赤には魔除けの意味があり、子どもたちを守る願いが込められているといいます。
昔に比べたら最近は随分と少なくなりましたが、西村さんは、「この地域では、若い皆さんの尽力もあって、地蔵盆が続いています。子どもたちをみんなで見守ったり、町内の大人たちの交流もあります。風習がずっと続いてほしいですね」と語っていただきました。
京都市右京区太秦垣内町