【愛】に悩むすべての人へ。理解できたらあらゆる人間関係の苦しみから解放されそうな本
(1)「愛とは技術である」という著者の主張
原題は「The Art of Loving」愛する技術。愛は技術であり、習得するものであると説く筆者。
「愛」とはいっても、「惚れた腫れた・モテたい」のような恋愛的なものではなく、もっと成熟した「人としてのあり方」を問われているような気分になる本。
(2) 「愛」について、鋭い洞察で多くの示唆を与えてくれる一冊
【・・・深い。一人の人との関係から、宇宙とのつながりを知る】
光には影がある。長所と短所は表裏一体。誰しも凸凹があるものです。誰かを、何かを丸ごと愛せた時に、本当に「生なるもの」を慈しむことができたと言えるのかもしれません。
だからこそ、イエスが言うように、「隣人を愛す」べきなのでしょう。
【自分を愛せない者に、他者は愛せない。】
「自分に厳しく、他人に優しく」は一種の理想です。けれども、実際には自分に厳しい人が、他人に優しくできることは稀です。人間はつい「自分はこれほど苦労しているのだから、相手も同じ苦労をして当たり前だろう」と思ってしまう生き物です。
他人にキツく当たってしまう人は、むしろ自己愛が足りていないのかもしれません。
【これが実践できたら、人間関係だけでなく、あらゆる悩みから解放されそう。】
ものすごく平たくいうと、「本音で生きてますか?」ということ。(私はそう解釈しています)
あらゆる本音の先にしか、本物の「生」も「愛」も経験できないということなのでしょう。
【グサっとくる一言。そして、あらゆることに通じそう...】
ものすごく、核心をついた言葉だと思います。(グサっときますね...。)
相手にメリットがあるから近づくのと、好きだから近づくのでは、結果に大きな差がうまれます。メリットで誰かに近づくのは、短期的にみれば良くても、長期的には実りが少ないことが多いものです。
これは仕事や、買い物などの日常生活に至るまで同じことが言えるでしょう。フロムは、これを克服のに必要なことは「勇気と行動」であり、痛みを受け入れる覚悟だといいます。
(3) おすすめポイント
・言葉はすこし硬くて読みにくいが、現代にも通じる鋭い洞察が盛りだくさんの本。
・『親子の愛』、『友愛』、『母性愛』、『恋愛』、『自己愛』、『神への愛』についてそれぞれ解説されている。パートナーシップだけでなく、家族や友人などあらゆる種類の人間関係に悩んだことのある人におすすめ。
(4) 著者について
ドイツのユダヤ系、社会心理学・精神分析・哲学の研究者。ほか、著書に『自由からの逃走』など。
『愛するということ』エーリッヒ・フロム(著)、鈴木晶(訳)、紀伊國屋書店、2020より