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日銀の月額の国債買入額は減額して、いくらになるのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀は7月30、31日の金融政策決定会合で今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定する。

 植田総裁は減額規模について「減額する以上相応の規模になると考えている」と述べていた。「債券市場参加者会合」を通じて、市場参加者の意向も確認した上で、今後1~2年程度の具体的な減額計画を決めることになる。

 「債券市場参加者会合」第20回の議事要旨によると、減額の幅についての意見として、「買入れ額をゼロとすべき」「1~2兆円程度を目指す」「2~3兆円程度までの減額が望ましい」「3兆円程度が一旦のめど」「3兆円程度まで減額すれば、大幅な減額を行うというメッセージが明確となる」「4兆円程度までの減額が適当」「4兆円程度までの減額がよい」「5兆円程度までの減額を一旦行い」などとあった。

 数値についてはバラバラとなっており、着地点はどのあたりとなるのか。日銀と市場参加者とともに、国債発行を担当する財務省とも意見をすり合わせて決めていくことになろう。

 「相応の額」ということになれば、やはり1兆円や2兆円程度の減額はむしろ考えづらい。ではもし3兆円の減額となれば、どのような数値となるのかを試算してみた(6月18日に掲載したもの)。

 現在は下記のような数字となっている。

1回あたり金額、回数、合計

1年以下、1,500、1、1,500

1~3、3,750、4、15,000

3~5、4,250、4、17,000

5~10、4,250、4、17,000

10~25、1,500、3、4,500

25年超、750、2、1,500

物価連動、600、1、600

合計、57,100

 上記の数値を元に仮に3兆円に落とし込んだのが下記となる。

1回あたり金額、回数、合計

1年以下、750、1、750

1~3、2,000、4、8,000

3~5、2,250、4、9,000

5~10、2,250、4、9,000

10~25、750、3、2,250

25年超、500、2、1,000

合計、30,000

 これはあくまでの試算であり、さらにそこに落とし込むペースをどうするのかも課題となる。1年程度あれば、徐々に落とし込むことは可能ではなかろうか。

 さらに1年経過後、あらためてさらなる減額の余地を探るといったことも考えられる。最終的には買入額を2兆円程度に落とし込むことも必要ではないかと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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