【河内長野市】なんと千年近い歴史!流谷八幡神社の縄かけ神事、今年の開催前に昨年の様子をご紹介
お正月は、初詣の後にも新年を祝ういろんな行事がありますね。その中でも河内長野には、1000年近く続いているというすごい伝統行事があります。それは流谷八幡神社で行われる縄かけ神事。なんと、1039年に創建した時からの歴史があるそうです。
1039年に京都の石清水八幡宮から神霊が勧請(かんじょう:呼び寄せる)された伝承による行事で、その日が1月6日だったことから、例年1月6日に行われている行事でした。
とはいえ、最近は6日にこだわっておらず、昨年は1月8日でしたし今年は1月7日と、直近の週末土曜日に行われているようです。
さらに驚いたことがありました。なんと、JR西日本の各列車の中づり広告に文化庁の名で、八幡神社の縄かけ神事の広告が2週間限定で登場しています。
これは文化庁が令和3年度補正予算事業として「地域の伝統行事等のための伝承事業(公開支援)」という内容で、八幡神社が応募して当選したものです。中吊りポスターはJR西日本の次の路線で12/26から1/8の2週間掲載されているとのこと。
これを知ったとき、本当に驚きました。河内長野の縄かけ神事のポスターが、このように関西のJRに乗っていると目に入るのですから。
関西空港線も入っているので、もしかしたら日本に観光に来た外国の人の目にも止まるかもしれませんね。
実は、そんな伝統ある行事の縄かけ神事を、昨年、朝からずっと見学させていただきました。昨年も今年もほぼ同じ内容と考えられるので、どのようなものか、そのときに撮影した写真をもとに紹介しましょう。
2022年1月8日の朝8時過ぎです。南海天見駅から流谷方向に歩いていくと、八幡神社に向かう赤い橋が見えますが、その手前を見ると、いつもとは違い何台も車が止まっています。
すでに、多くの地元の人たちが、縄かけ神事のための準備を始めているようです。
さっそく赤い橋を渡って神社に向かってみましょう。
神社の前には赤い横断幕があり、おめでたい気分全開ですね。
このように、地元の人たちが作業をしています。
八幡神社の拝殿の前には、新年らしい門松がありますね。まずはお参りをしました。
こちらには榊(さかき)の枝が置いてありました。これも縄かけに使うもののようです。
地元天見の駐在さんの姿が見えますね。もちろんこれだけの人が集まっているので警備という意味もあるようです。
お酒も用意されていますが、みんな縄かけのための縄づくりに必死なので、誰も手を付けていません。
天見の駐在さんは、地元の人と一緒に縄掛けの作業もされます。この時に見たことと大阪府警のカレンダーに紹介されたことで、昨年駐在さんの記事でご紹介しました。
縄は、わら(藁)を重ね合わせて撚(よ)って作られていきます。
横で作業の様子を見ていましたが、縄の作り方として、最初にわらを束ねてそれを木槌で叩いた後に束にして、梯子を使って他の縄と括り付けるようにつないで縄を伸ばしていくようです。
片手でつまめるほどのわらを束ねて、石の上において叩いていくようです。
こうしてわらが重ね合わされたものがひとつの縄となっていく。稲を刈り取った残りのわらが、こうして次の目的のために活用されるという先人の知恵は、ほんとうに素晴らしいですね。
焚火があります。1月の午前中の山の中、天気は良いものの、実は本当に冷えました。この焚火にどれだけ助けられたことか。
次々とわらが縄となっていき、縄が長くなっていきます。縄は目の前の谷の長さプラス木に括り付ける長さの分作っていくわけですね。
メインとなる太縄とは別に細い縄も作られていました。
こうして、太い物、細い物と、ふたつの縄が作られていきます。
駐在さんがメジャーで長さを測っています。およそ70メートル前後の縄が作られるそうです。また縄の重さは総量100キロ近くあります。
せっかくなので、高いところからも作業の様子を見てみることにしました。
高いところから見ると、ずいぶん縄が長くなっているのが一目瞭然です。
細い縄は、このように榊をつなぐために使うようです。
出来上がった太い縄は、蛇のとぐろのように、こうやって丸めていきます。
途中で、宮司さんが、ぜんざいを振舞ってくださいました。見物人である私のところにも。
おかげで冷えた体も中から温まりました。餅がふたつも入っていましたが、美味しかったのであっという間に食べてしまいました。
不要になったものは、たき火のところですべて燃やしていきます。
ずいぶんと、太い縄のとぐろが高くなってきました。
それでもまだまだのようで、梯子を使ってどんどんと縄を作っていきます。
近づいてみました。わらが梯子を使ってあんなに長い縄になっていく様子はなかなか見る機会がないので、ほんとうに貴重な経験をさせていただきました。
さあ、ついに縄が完成しました。神社の拝殿にもっていきます。
神社拝殿前は、オロチのようにも見える大きな縄と、榊をつないでいる小さな縄が置かれました。
ここで宮司さんが登場し、お祓いが行われます。
みんなが見つめる中、神事が始まります。
ちなみに拝殿の右側には、氏子総代の人たちが座っています。
厳かな神事が始まりました。
この様子は動画に撮影しました。
無事にお祓い・神事が終わると、いよいよ谷に縄がかけられます。
榊と小さな縄も移動します。
橋を渡って対岸に向かいます。
橋の途中で縄がほどかれて、谷の両側に運ばれていきます。
今は立派な橋があるので、橋の上で縄をもって縄かけが出来るようですが、昔はこんな橋もなかったでしょうから、本当に大変だったのでしょうね。
縄の先端が谷の先の括り付ける木のほうに行ったようです。
手前側にも縄のもう片方の先端があります。
大きな縄には、先ほどの小さな縄に括り付けられていた榊を取り付けていくようです。
縄を括り付ける対岸の大木は、迫力がありますね。
ただ実際に縄をかけるときには机上のようにはいかず、いろいろ声を掛けながら調整されていました。
手前の木に縄を括り付けていきます。どうやって括り付けたら外れないかといったノウハウは代々受け継がれているのでしょうね。
木に括り付ける様子を拡大しました。ここは谷に降りる途中なので、非常に足場が悪いところです。
橋の中ほどの様子です。
橋の対岸でも、木に括り付けている様子が見えました。
太い縄に、この場で榊が付いた細い縄を括りつけていきます。
榊が取り付けられた縄が、いよいよみんなが縄を持っている橋から離れていきます。
縄を手から外す時も細い縄(紐?)を使って慎重に行っています。
こうして縄が人の手から離れ、橋と並行する位置にかけられました。
みると、縄がかけられた後の神事の準備がなされています。
無事に縄がかけられたようです。伝承では神の霊がこの縄を伝って現在の場所に鎮座したとあります。
橋の上から撮影しました。この縄こそが千年近く続く伝統なのですね。
縄は無事にかけられましたが、まだ木の根元では、しっかり括りつける微調整を行っています。
橋の真ん中では、無事に縄がかけられたことを祝う神事が行われます。
先ほど拝殿の中にいた氏子総代の人たちが、橋の上に集まります。
こうして氏子総代の方や見学者の方が見守る中、最後の神事が執り行われました。
代表者が柏手を打っています。
最後に宮司さんが切麻(きりぬさ)と呼ばれる白い紙吹雪のようなものを縄に向けてかけて終了します。
ということで、昨年の縄かけ神事の様子を紹介しました。今年は7日に行われますが、恐らくはほぼ同じ内容と思われます。
この縄は1年は持たないようで、架けられた注連縄がいつ切れるかによって、その年の豊凶(豊作か凶作か)を占う意味もあるそうです。確か昨年も夏の始まりくらいまでは繋がっているのを確認しましたが、秋が深まったころには切れていたように思います。
もし興味があれば、1月7日土曜日の8時からお昼くらいまでなので、河内長野に古くから続く伝統行事を見学してみてはいかがでしょうか?
石清水八幡宮別宮 八幡神社(流谷八幡)
住所:大阪府河内長野市天見2211
電話: 0721-62-6874
勧請縄かけの時間:8:00~正午ごろまで
アクセス:南海天見駅から徒歩15分
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