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ウクライナ軍、ロシア軍の偵察ドローン「Orlan-10」をロシア製ミサイル「S-300V1」で破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

偵察ドローンは見つけたらすぐに破壊

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。たまに「Eleron-3」でも偵察を行っている。2022年11月には「Granat-4」、「Korsar(Корсар)」、「Supercam S150」、「ZALA 421-16Е2」というロシア製の偵察ドローンも破壊されていた。ロシア軍は、イラン製の攻撃ドローン「シャハド136」「シャハド131」だけでなく、ロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」などの攻撃ドローンで攻撃を行っている。

そんななか、2023年1月にもウクライナ軍はロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」をソ連時代に開発されたロシア製の長距離地対空ミサイルシステムS-300V1で迎撃して爆破していた。その動画も公開していた。S-300Pと違って、S-300V1を使用するのはレアなケースとのこと。

▼S-300V1で「Orlan-10」を破壊する様子

ミサイルシステムでの破壊でもトータルのコストパフォーマンスも高い

ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止させる必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。今回の「Orlan-10」は長距離地対空ミサイルシステムでの破壊なので明らかにハードキルである。

特に偵察ドローンは発見したら、すぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。

「Orlan-10」のような安価な偵察ドローンに対してミサイルシステムで迎撃して破壊するのはコストパフォーマンスが低いと思われるかもしれない。だが偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止させたりする必要がある。回収されて再利用されないためにもドローンは上空で徹底的に破壊しておいた方が効果的である。

偵察ドローン「Orlan-10」に探知されて味方のウクライナ軍に大きな攻撃をされたり、民間人(非戦闘員)が標的にされて民間人の犠牲者が出たり、重要インフラに攻撃をされるかもしれない。そのためたとえ偵察ドローン「Orlan-10」であっても長距離地対空ミサイルシステムで迎撃して破壊しておくことはトータルでのコストパフォーマンスは高いことになる。

▼ロシアの偵察ドローン「Orlan-10」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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