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「寸分たがわず信じていた」という信念のもと、フェデラーがウインブルドンテニスで史上最多8回目の優勝!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ウインブルドンで史上最多の8回目の優勝を達成し、トロフィーを手に笑顔のフェデラー
ウインブルドンで史上最多の8回目の優勝を達成し、トロフィーを手に笑顔のフェデラー

“生きるレジェンド”といわれるロジャー・フェデラーが、テニスの聖地といわれるウインブルドンで、また新たな伝説をつくった。

テニスの4大メジャーであるグランドスラムの第3戦・ウインブルドンの決勝で、第3シードのフェデラー(ATPランキング5位、7月3日付け、以下同、スイス)は、第7シードのマリン・チリッチ(6位、クロアチア)を 6-3、6-1、6-4で破って、5年ぶりに8回目の優勝を飾った。驚くべきことにフェデラーは、優勝まで1セットも落とさなかった。

決勝では、チリッチが準決勝までの激しい戦いによって、左足の裏にマメができてしまい、激しい痛みのために思うようなプレーができなかったため、フェデラーの一方的な展開となった。

フェデラーは、サーブ、リターン、ストローク、すべてのショットが好調で、特に、リターンのアンフォースドエラー(凡ミス)はゼロだった。結局、ミスを8本の抑え、サービスエース8本を含む23本のウィナーを打ち込んで圧勝した。

「本当に自分のベストを尽くしたかったけど、できる限りのことはトライした。ロジャーは本当にいいプレーをした。ロジャーこそ優勝に値する。本当におめでとう」

ツアー屈指の人格者であるチリッチは、フェデラーの優勝を心から称えた。

フェデラーのウインブルドンでの8回の優勝は、ピート・サンプラス(アメリカ)やウイリアムス・レンショー(ブリテン諸島)の7回を抜いて史上最多記録で、さらに35歳342日での優勝は、ウインブルドンでの最年長優勝となる。

「8回の優勝なんて目指してできるとは思ってなかった。とても特別なことです。ウインブルドンは、いつも自分のお気に入りの大会だからね。そのウインブルドンで、歴史をつくれたことは、僕にとって本当に意味のあることです。本当にアメージングです」

フェデラーは、再びウインブルドンタイトルを獲得できることを「寸分たがわず信じていた」という。そして、最近自分のチーム全員に、自分はグランドスラムで優勝できるかどうかを尋ねた。

「彼らからの答えはいつも同じだった。100%健康で、いい準備ができて、プレーしたいという渇望があれば、どんなことでも可能だろう。でも、それらが揃わなければ、かなり難しいだろう」

今季フェデラーは、1月のオーストラリアンオープンに続いてウインブルドンでも優勝し、グランドスラムで2つのタイトルを獲得して、35歳とは思えないほどの活躍をしている。昨年の左ひざの故障から華麗なる復活を遂げて、まるで再び全盛期が訪れているようだ。

「(以前だったら)もし僕が、今年グランドスラムで2回優勝するよと話したら、人々は笑って信じなかっただろう。僕もまた信じなかっただろう。でも、(実際優勝して)本当に信じられない」

ウインブルドン後のATPランキングで、フェデラーは3位に浮上する。男子テニスワールドツアー後半戦の主役の一人は、間違いなくフェデラーだ。

ウインブルドン8回優勝、グランドスラム19回優勝、“生きるレジェンド”であるフェデラーの美しいテニスをまだまだ見ていたい。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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