NY金13日:強弱感が交錯する不安定な地合に、小幅続伸
COMEX金12月限 前日比0.90ドル高
始値 1,162.80ドル
高値 1,167.20ドル
安値 1,151.30ドル
終値 1,165.40ドル
強弱感が交錯する不安定な地合になる中、小幅続伸した。
アジアタイムは戻り売り優勢の展開になり、総じて1,150ドル台前半での取引になった。為替相場がドル高気味に推移したこともあり、短期筋の戻り売り圧力が強くなった。しかし、ニューヨークタイムに入ると欧米株の軟化を手掛かりとした押し目買いが膨らみ、小幅ながらプラス圏に切り返して引けている。
アトランタ連銀のロックハート総裁は、引き続き年内に金利の正常化をスタートする条件が満たされているとの見方を示した。10月と12月のいずれの会合でも利上げが正当化できるとしている。一方、こちらは引け後になるがタルーロ米連邦準備制度理事会(FRB)理事は現時点では年内利上げを支持できないとしており、米金融当局者の意見は割れている。
現時点では、フィッシャーFRB副議長、ニューヨーク連銀ダドリー総裁、アトランタ連銀ロックハート総裁、サンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁、セントルイス連銀ブラード総裁からは、年内利上げが支持される可能性が示されている。一方で、シカゴ連銀エバンス総裁は明確に利上げ先送り、ミネアポリス連銀コチャラコタ総裁に至ってはマイナス金利の導入を訴えるなど、当局者の発言はタカ派とハト派が交錯した状態になっている。
基本的には利上げ着手の方向性に変化はなく、金相場が改めて本格的に買い進まれる必要性は乏しい。金上場投資信託(ETF)の投資残高も殆ど動いておらず、あくまでも9月米雇用統計で早期利上げ期待が後退した反動が、金価格を押し上げているに過ぎない。その意味では、ダウントレンドにおける修正高に過ぎないと評価している。ただ、改めて売り込んでいくには米金融政策正常化プロセスへの信認を高めていくことが必要だが、なおタカ派の当局者発言に対する反応も鈍く、雇用統計ショックの余波が続いていることが窺える。米金融当局者からは極端なハト派に傾いた金融政策見通しをタカ派方向に引き寄せる動きが活発化しているが、米実体経済の底固さを再確認するまでは、金相場の急落リスクは限定される。戻り売り基調は維持されていると考えているが、利上げ着手の方向性が再確認できる材料待ちの地合になる。