今年の通常国会で成人は18歳になる。若者は今すぐ社会の主役を目指せ!
アスリートや芸能界などでは既に10代など若手が活躍している
成人の日を過ぎ、TV各局でも全国各地で行われた成人式の様子などでも取り上げられているようだ。
昨年はオリンピックイヤーという事もあって、若いスポーツ選手が活躍した。
今年、新成人となったスポーツ選手といえば、オリンピック金メダリストでもある体操の白井健三選手(20歳)、今年も絶好調でW杯連勝中のスキージャンプの高梨沙羅選手(20歳)などがそうらしい。
スポーツ界ではさらに若いアスリートなども活躍する。
オリンピックでメダルを獲得した卓球の伊藤美誠選手はまだ16歳、同い年の平野美宇選手はW杯で優勝した。サッカー界では、Jリーグの最年少出場を更新した久保建英選手は15歳、数々の日本新を出している水泳の池江璃花子選手も16歳だ。フィギュア界でも男子はグランプリファイナで3位になった宇野昌磨選手は19歳、女子では15歳の本田真凜選手が世界ジュニア選手権で優勝と今後もスポーツ界は若手が盛り上げてくれそうだ。
ちなみに当事者である同世代の若者たちが期待の新成人を上げると、白井健三選手、高梨沙羅選手に続いて池田エライザさん、三吉彩花さん、藤井夏恋(E-girls)さん、松井愛莉さん、佐藤勝利(Sexy Zone)さん、小瀧望(ジャニーズWEST)さん、真剣佑さん、佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)さんとなるようだ。
新成人は123万人。50年で約半数に
2017年に新成人として成人の日を迎えたのは約123万人。
一昨年と比べると3万人減だが、昨年との比較では2万人の増となった。
総人口に占める新成人の割合は0.97%、2011年に1%を切った後は、ほぼ横ばいながら今後は減少傾向が進み、2025年には0.88%になるとされている。
50年前の1968年には新成人が236万人(2.35%)いた事を考えると、その人数は半世紀で半減してしまった事が分かる。
第二次ベビーブーム直後の自分の世代でも189万人(1.50%)いた事、さらにはこの第二次ベビーブーム世代が親になってきていながら増加させられていない事を考えると、若者の減少は既に歯止めをかけられない状況になってきている事が分かる。
こうした中で、是非、将来を担う若者たちには、大人たち以上に長期的視点を持つと同時に、「将来は」ではなく、今から活躍する事を意識してもらいたいと思うのだ。
図表: 新成人人口と総人口に占める割合の推移
今年の通常国会で「18歳成人法案」が提出される2021年からは「18歳成人」
「20歳になったら成人」というもはや日本の中では常識になっている事も、今後大きく変わってくる事になる。
昨年7月に行われた参議院議員選挙では、選挙権が18歳に引き下げられた事で、高校生から実際に投票も行われるなど大きな話題になった事は、みなさんに取っても記憶に新しいところだと思う。
この選挙権年齢引き下げは戦後初となる70年ぶりの拡大であり、歴史的にも大きな変革であり、私自身はこの選挙権年齢引き下げを大学生だった2000年から15年もかけて仕掛けてきたことから「ようやく実現した」との思いもある。当時の若者ももちろんだが、この引き下げに際しては現在の高校生や大学生など多くの当事者も関わり、若者が法律を変えた大きな出来事でもあった。
しかし一方で、一般的には「唐突に出てきた」、「急に引き下がった」と言う人も多く、専門家ぶっている人の中には「当事者不在の中で引き下げられた」などと事実も知らずに暴言を吐いている人たちもいる。
ここでお伝えしておきたいのは、「今度こそこういう事のないように、当事者は声を出そう」ということだ。
今月から始まる通常国会の中で、成人年齢を18歳に引き下げるいわゆる「18歳成人法案」が提出される。
多くの人にとってはまた「寝耳に水」かもしれないが、このコラムではこれまでも伝えてきたように既に「18歳成人」は政府、与党である自民党、公明党はもちろん、総務省なども含めて既定路線となっている。
この事で東京オリンピック直後の2021年には、18歳から成人ということになるのだ。
こうした状況の中で、またもや「知らなかった」という事にならないように若い人には頭の中に入れておいてもらいたい。
政府や自民党ではさらに「若年成人」と位置づけ、さらに被選挙権年齢引き下げの検討も進んでいる
成人年齢引き下げは、選挙権年齢引き下げ以上に大きな影響を与える可能性がある。
飲酒喫煙の対応は維持されそうだが、それでも消費者契約などの問題など、対応が求められる問題も多い。
そのため、政府や自民党の中では、新たなに成人となる18・19歳は勿論、これに大学卒業年齢を想定した22歳ぐらいまでを「若年成人」と位置づけながら、その育成や環境整備に向けた検討が始まっている。
自民党では党の政策決定を行う政務調査会に「若年成人の教育・ 育成に関する特命委員会」を設置し、昨年11月に行われた初回会合では、私が有識者として招かれ、被選挙権年齢引き下げを含めて、若者を当事者として参画させながら育てていく環境整備の重要性などを指摘してきた。
自民党内では、同じく11月行われた選挙制度調査会でも、国政と地方の選挙に立候補できる被選挙権年齢を引き下げる検討を始めており、同調査会では関連法案を早期に国会に提出する方針も確認、引き下げ幅を詰め、早ければ今月から始まる通常国会に公職選挙法や地方自治法の改正案を出すとも言われている。
18歳選挙権引き下げ法案の可決が2015年、2016年に始めての18歳からの選挙権が行使したばかりではありますが、既にこうして「18歳成人」、さらには被選挙権年齢の引き下げが、現実的に進められようとしているのだ。
10年後には約半数の職業がなくなる。そんな時代に勝ち残れる人材になって欲しい
2013年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授がAIやロボットなどの発展によって10年後になくなる職業を発表して話題になった。
米国での想定だが、そのインパクトは大きかった。
1位:小売店販売員
2位:会計士
3位:一番事務員
4位:セールスマン
5位:一般秘書
6位:飲食カウンター接客係
7位:商店レジ打ち係や切符販売員
8位:箱詰め積み降ろしなどの作業員
9位:帳簿係などの金融取引記録保全員
10位:大型トラック・ローリー車の運転手
11位:コールセンター案内係
12位:乗用車・タクシー・バンの運転手
13位:中央官庁職員など上級公務員
14位:調理人(料理人の下で働く人)
15位:ビル管理人
さらに野村総研の試算では、10〜20年後にAIやロボット等に代替可能性が高い労働人口の割合は日本の場合、英国や米国よりも高く49%もの労働力が代替可能だとされている。
成人を迎えた新成人たちよ。
あなたたちが生きていかなければならない時代は、こんな状況だ。
是非、こうした変わりゆく時代の中で、それでも勝ち残っていく人材にと育ってもらいたいと思う。
今年、次男も成人を迎えた。
政治家の家族という事もあり、また複雑な家庭環境から子どもたちには随分と苦労も迷惑もをかけてきた。
彼らの世代に自分たちは何が残せるのか、また彼らがこれからの世界で活躍していくためには何が必要なのかと日々考える。
既に自分たち世代だけでは解決できないほどこの国の問題は深刻になりつつある。
せめて、彼らの時代には、再び世界のトップが見られるような未来を見据えた環境整備ができればと思う日々である。
今週末、同じように成人を迎えた若者たちが123万人いる。
大学で教えている教え子や、NPOなどの活動を共に行っている同志も含め、彼らには、「将来」と言わず、「今すぐ」活躍してもらいたいものだと真剣に思う。
何度失敗してもいい。
新たな社会と未来のためにチャレンジをしてもらいたい。
一方で、まだまだ若い人たちに負けてもいられない。
与えられた役割として、自分自身も政治でも経済でもさらに若い世代が世界と戦い、活躍する環境の整備を続けていきたいと思う。