Yahoo!ニュース

今シーズンのNPBでプレーしている「野手登板」の経験者は、増田大輝と青木宣親だけではなく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
青木宣親 JUNE 30, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月6日、ユーティリティの増田大輝(読売ジャイアンツ)が、マウンドに上がった。日本プロ野球で野手が登板するのは、2000年6月3日の五十嵐章人以来。20年ぶりのことだ。

 ただ、メジャーリーグにおいて、野手の登板は珍しいことではない。今シーズンの日本プロ野球でプレーしている野手のうち、メジャーリーグで登板したことがあるのも、青木宣親(東京ヤクルトスワローズ)だけではない。レオネス・マーティン(千葉ロッテマリーンズ)、コーリー・スパンジェンバーグ(埼玉西武ライオンズ)、ヘラルド・パーラ(読売)の3人も、マウンドに立って投げたことがある。

筆者作成
筆者作成

 なかでも、スパンジェンバーグは1登板ではなく、2018年6月に2登板だ。いずれも内野手として出場していた試合で、9回表にマウンドへ。点差をさらに広げられたものの、それぞれ1イニングを投げきった。

 一方、パーラは打者5人に投げ、1アウトも取ることができなかった。四球、四球、四球、安打、四球。その防御率は無限大だ。

 メジャーリーグと日本プロ野球のどちらでも登板した野手は、まだいないのではないだろうか。イチローは日米のマウンドに上がったが、日本プロ野球で投げたのは公式戦ではなく、1996年のオールスター・ゲーム第2戦だ。その前年に日本プロ野球の公式戦で登板したオレステス・デストラーデは、メジャーリーグでは、1987~88年も1993~94年も投げていない。

【追記:8/7】読者の方から教えていただきました。ありがとうございます。1972~73年に南海ホークスでプレーしたウィリー・スミスが、日米で野手登板を記録しています。スミスは1963年に投手としてメジャーデビューし、翌年の途中から野手になりました。その後、1968年に3登板しているので、これは「野手登板」と看做していいと思います。日本プロ野球でも、1972年に2登板を記録しました。

 青木、マーティン、スパンジェンバーグ、パーラの4人は、メジャーリーグで登板を経験し、今シーズンは日本プロ野球でプレーしている。現時点で「日米両方の野手登板」にリーチをかけているのは、彼らだけだ。増田と、メジャーリーグで登板を経験している4人以外の野手たちは、もう一方のリーグ――増田の場合はメジャーリーグ――へ移らない限り、リーチはかからない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事