15~39歳の48人に1人が該当…「ニート」人口比率の推移と現状をさぐる(2019年時点最新版)
先日発表された総務省統計局による労働力調査の結果から、いわゆる「ニート」に該当する「若年無業者」の人数が算出できる。その人数は該当する年齢階層ではどれほどの割合なのだろうか。その実情と過去からの動向を確認する。
「ニート」は「NEET(Not in Employment、Education or Training)」の日本語読みをしたもの。そのまま直訳すると「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人」となる。内閣府が毎年発表している子供・若者白書では類似概念の「若年無業者」と表現しているが、その定義は「15~39歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)のうち、家事も通学もしていない者」(値算出の一次ソースとなる労働力調査でも「若年無業者」に関する精査は行われているが、そちらでは15~34歳が対象となっている)。求職活動と職業訓練はまったくの同一ではないが、当事者の意志としてはほぼ同じであり、「若年無業者」と「ニート」は大体同列のものと見なしてよい。
直近となる2018年における「若年無業者」は71万人を計上している。
これらはあくまでも絶対数による人数の推移。日本の若年層人口は漸減傾向にあるので、「若年層全体に占めるニートの割合」は増加しているのか減少しているのか、この動向だけでは判断は難しい。そこで具体的にその状況を逐次算出し、折れ線グラフで推移を示したのが次の図。
データの収録開始年である1995年当時は該当世代の1.3%でしかなかった「ニート」だが、その後上下を繰り返しながら中期的には比率は漸次上昇。2004年には2.0%に達し、2012年には最大の2.3%。その後、やや値を落としたが2016年では再び上昇し最大となる2.3%(2012年と同じ)の値を計上した。直近の2018年ではそこからやや値を落として2.1%。概算だが2018年では15歳から39歳が48人集まると、そのうち1人がニートとなる。
このグラフ・値の動向の特徴としては、景気動向に大きく左右されること無く、上昇していた点が挙げられる。2001年から2002年にかけての0.5%ポイントもの上昇は、同時期に生じている若年無業者の急増が、同年齢階層の全体人数の急増による比例的な増加によるものでは無く、何らかの要因によって割合が増加した結果であることを表している。
この急上昇に関しては「学校完全週5日制」を原因とする論説もあるが、そのほかに当時の不況を反映しているとの解釈もできる。しかしながらその後の景気回復にもかかわらず割合は減少していないことから、景気とは大きな関係は無いと推測される。不景気のみ連動し、好景気とは無関係の可能性もあるが、それならば2007年夏以降の金融不況の際にも、同様の大幅な上昇が起きねばならない。しかしながらそのような動きは見られない。
就業構造や社会情勢に大きな変化が無い限り、この比率は引き続き中期的には上昇を続けていくものと考えられる。ただしこの数年間の動きからは、現状がほぼ天井のようにも見える。
今後もニート数の絶対数とともに、該当年齢階層の人口比についても注視する必要があることには違いない。
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