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交通事故による2014年の死亡者は4113人、前年比でマイナス5.9%

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 当事者だけでなく悲劇の連鎖を引き起こす交通事故。その数は……!?

交通事故による死亡者は減少中

昨年1年間に交通事故で亡くなった人の数は4113人となり、前年と比べて5.9%もの減少を示した。これは14年連続の減少で、第一次交通戦争時と比べると2割強にまで減少している。次以降に示すのは警察庁が毎年発表している「交通事故死者数について」をはじめとする統計資料をもとにしたものだが、事象発生から24時間以内に死亡した人数となる交通事故死亡者は、明確な形で減少を続けている。

↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者推移(2014年分反映)
↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者推移(2014年分反映)

2000年はイレギュラー的にわずかに前年比で増加したが、それ以外は過去20年間、交通事故による死亡者は年々減少しているのが現状。

上記交通事故死亡者の数はあくまでも「事故発生から24時間以内」のもの。発表を見聞きした人の中には「望みが無くとも24時間は延命させて、都合の悪い数字減らしをしているのでは。実際は事故状況は悪化しているかもしれない」と陰謀説を巡らせる人もいる。しかしその考えは正しくない。

警察庁では別途「交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取り締まり状況について」なる報告書を毎年公開しているが、そこに掲載されている「交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移」では、24時間に限定せず、「30日以内」、さらには厚生労働省統計の「1年以内」の交通事故死亡者数も含まれている。そしてこれらの値を眺めれば、約20年の間、すべての値が減少しているのが把握できる。

↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移
↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移

1960~1970年における「第一次交通戦争」は経済発展の中で自動車、特に商用車の急速な普及と共に、立ち遅れた交通行政と自動車社会に対する啓蒙不足、法整備不足を原因としている。そして「第二次交通戦争」は自動車交通の加速化に対して行政の対応が間に合わなかった(環境整備予算、人員数、若年層への啓蒙)とする意見が有力。

しかし第二次交通戦争以降は

・車両台数は増加、その後十年強の間は横ばい

・事故発生件数、負傷者数は上昇、その後横ばいから、直近10年は減少の傾向

・死者数(24時間以内、30日以内、1年以内)は一環して減少

の傾向にある。特に事故発生件数と負傷者数は2004年から2005年にかけて減少したのを皮切りに、ようやく減少傾向に転じたのに対し、各種死者はそれ以前から一様に急速に減少しているのは注目に値する。

これら一連の減少傾向は多種多様な要素の複合効果によるもので、「シートベルト着用者率の向上」「事故直前の車両速度の低下(取り締まり強化、安全装置の充実)」「悪質・危険性の高い事故の減少」「歩行者の法令遵守」「自動車技術の進歩」「交通ルールの規制強化」「医学、生存技術の進歩」などが挙げられる。一つ一つだけでは決定打となるものではないが、これらの対策が積み重なり、確実に交通事故による悲劇を減らしている。それは上記の各種データが語っている。

戦後の動向を別の視点で読み解く

戦後の交通事故による死亡者や負傷者の動向を、単純な数字では無く、指標の形で確認していくことにする。数字的なピークとなった「第一次交通戦争」と呼ばれる1970年の値をそれぞれ基準値の100として設定。その上で、交通事故発生件数・負傷者数・死者数の推移(指標推移)をグラフ化したのが次の図。最大値を示した時からどれだけ増加・減少しているかなどの状況把握ができる。

↑ 1946年~2014年の交通事故発生件数・負傷者数・死者数(人)(ピーク時の1970年データを100とした場合、指数)
↑ 1946年~2014年の交通事故発生件数・負傷者数・死者数(人)(ピーク時の1970年データを100とした場合、指数)

・「第一次交通戦争」まで交通事故の発生件数・負傷者数・死者数はほぼ比例する形で上昇。

・1970年代に起きた「石油危機」で自動車の運行頻度・台数は大幅に減少し、それに伴い事故発生件数・負傷者数・死者数も減少している。

・その後再び各値は上昇。「第二次交通戦争」の1988年には、再度事故死者数が1万人を突破する。

・その後、これまでの「発生件数・負傷者数・死者数間の正比例」の関係が崩れる(指数グラフ、緑の矢印で示した部分)。

・2004年以降は事故発生件数、負傷者数そのものも減少傾向を見せている(車両台数も漸増からやや横ばいに落ち着いている)。

・この数年は死者数はゆるやかな減少、発生件数と負傷者数は急降下で減少中

特に注目すべきなのは、1990年後半以降、「第二次交通戦争」以降に起きた、「事故発生件数・負傷者数」と「死亡者数」のかい離(かけ離れること)。これまで3項目の動きがほぼ正比例の関係にあったのに対し、1990年後半を境に「事故発生件数や負傷者数が増えても、死者数は減少する」傾向を見せたこと。もちろん死者数のカウント方法を変更したり小細工をした(事故発生から24時間で統計上の事故死からは外れる)わけではない。その事は上記のグラフからも明確に理解できる。

とりわけ各種技術の進歩発展が交通事故死を減らすのに貢献したことは間違いない。例えばシートベルトなら「シートベルトの非着用者の致死率は、着用者の約15倍(2013年分データ)」などが裏づけとなる。

統計データを見る限り、自動車事故に対して行政・自動車メーカーが行っている努力は実を結びつつある。最終的には「年間交通事故死亡者ゼロ」が目標だが、これは果たせぬ・永遠の夢。それでも関係者たちはその値を目指し、ダメージの軽減や交通ルール遵守対策、さらには事故そのものを回避するような仕組みを追い求めて続けて行く。一層の成果の発揮と事故関連の数字の減少に期待したいところだ。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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