OPEC総会を受けて原油安が加速、今年最安値を更新
12月4日に開催された石油輸出国機構(OPEC)総会を受けて、改めて原油相場が急落している。国際指標となるNY原油先物相場は、9~10月にかけて1バレル=40ドル台中盤から後半での取引になっていたが、足元では40ドル台を完全に割り込む37ドル台後半まで値位置を切り下げ、今年の最安値を更新している。昨年中盤に原油相場の急落が始まってから1年半が経過しているが、なお原油価格は底値が見えない状況が続いている。
急激な原油安は産油国経済を直撃しており、OPEC内では原油需給・価格に対して改めて責任を持つべきといった論調も聞かれ始めている。しかし、OPEC最大の産油国であるサウジアラビアは、OPEC単独での生産調整の効果に懐疑的なスタンスを崩しておらず、過剰供給と価格低迷を是正するのは市場機能に委ねるべきとの方針を再確認している。
サウジ国内でも行き過ぎた原油安に懸念の声が聞かれ始めており、石油関連閣僚などからは生産調整の必要性を認める発言も確認されている。しかし、従来とは違ってシェールオイルや深海油田と言ったいわゆるタイトオイルの生産シェアが上昇する中、もはやOPEC単独での需給調整は不可能な状態に陥っている。OPECが減産して原油価格が上昇すれば、タイトオイルに増産圧力が強まるのは必至であり、OPEC単独で原油需給バランスに責任を持てる時代ではなくなっているのである。
このため、サウジアラビアからはロシアなどOPEC非加盟国とも協調できれば、減産対応に踏み切る用意があることが明らかにされている。仮にOPECが減産に踏み切ったとしても、市場シェアを大きく落とすようなことはないように、他産油国に協力が求められている。しかし、ロシアはなお自国の産油量を削減することに消極的であり、OPEC内でも他国に対しては減産を呼びかけながら、自国は逆に増産を志向する矛盾した状態に陥っている。
国際原油需給の過剰供給を是正する目途が立たない中、需給バランスの均衡化、そして原油安是正のためにはいずれかの産油国が生産調整に踏み切る必要性がある。しかし、40ドル前後の原油価格水準では国際協調減産が実現しないことがOPEC総会で再確認される中、改めて原油安を推し進めて、減産対応を促すことが要求されている。
原油安に耐えられなくなったシェールオイルや深海油田の減産圧力が一段と強まるのか、それともサウジアラビアとロシアなどの協調減産が合意されるのか、いずれにしてもそのきっかけとして原油価格の低下が要求されている。30ドル台のみならず、20ドル台までの値下がりを予想する向きも増え始めている。