【文学フリマ】インク沼の人必見。万年筆とインクの同人誌を発見! イベントともども簡単に紹介します
さる11月11日 東京の「東京流通センターイベントホール」で開催された文学フリマに行ってきました。
こんにちは。デジアナリスト・手帳評論家・歌手の舘神龍彦です。
文学フリマとは、その名の通り、文学のフリーマーケット。文学作品展示即売会です。さてでは、この場合の文学とはなにかですね。
文学フリマのWebサイトには、こんな一文があります。
つまり、「文学」の定義が開放されています。自らが文学と信じるものが販売されているのです。実際そのテーマは百花繚乱というか文字通りさまざまでした。
私が見た範囲でも、いわゆる文学もありましたが、同人ゲームとか、公園の遊具の写真集とか、東横インとかほんとうにバラバラでした。SFとかマンガ、アニメ、あるいはラノベみたいなものもあったかと思います。
で、これらは文学フリマという枠組みの中で、いわゆる文字で書かれたもの=文学という定義を揺らがせているわけです。でもそれが意外と文学っぽいのではないかと思ったりして。
万年筆とインクの肉筆同人誌
その中でもちろん文房具がテーマになったものもありました。
その1つが、この「万イン春秋」。
これが目次(の一部)です。
これは2022年発行の3号でしたが、2023年発行の最新の号もありました。
この「万イン春秋」その名の通り、万年筆とインクの同人誌ということのようです。 おもしろいのが、掲載されている文章のほとんどが肉筆であること。この目次がもう肉筆です。
これは万年筆とインクがテーマの場合、非常に意味があることです。
つまり、万年筆で書かれた筆致をそのままみることができるからです。
一般的には万年筆で紙にかかれたものは、書いた本人かその周囲の人以外は目にする機会はありません。そしてこの「万イン春秋」においては、同人誌という形式をとり、文学フリマに出展されることによって、不特定多数の目に触れるようになっているのです。
印刷の色がもとのインクの色にどれだけ忠実か。元のインクの色を知らなければ推察の範囲をでません。しかし、万年筆の筆の運びを想像し、また筆致筆跡そのものを楽しむのにはこういう形式が不可欠だと思えます。
そして印刷されたものは、十分にその筆致とインクの質感を伝えていると思えました。
スキームはコミケ
この文学フリマ、スキームとしてはほぼコミケ=コミックマーケットのそれだと言えます。大きな会場に各種テーマの同人が同人誌(通称“薄い本”)を売るというスタイルは、コミケ以来のものだと思います。
コミケとの違いは、文字のコンテンツが多いことでしょうか。
コスプレをしているような人はあまり見かけませんでした(個性的な格好の人は多かったと思います)。
また、同人誌を印刷する会社と、同人のみなさんとのやりとりはやはりコミケのスキームだと感じられました。
その中で万年筆とインクをテーマにした同人誌が印刷され綴じられて売られているのはなんともおもしろい。趣味を軸としてコミュニティが生まれ同人誌になり、万年筆で書かれた色とりどり(インクの色も最近はバラエティが広がっています)の筆致を見ることができるのは興味深く感じました。
付け加えるのなら、みなさん達筆です。私が万年筆で書いた文字はとても人にお目にかけられるようなものではない。
というわけで、文学フリマの情報は、公式サイトにあります。
東京での次々回の開催からは、東京ビックサイトに会場が移り、入場料も必要だそうです(次回までは無料)。また首都圏以外の各地でも開催予定もあるようです。
IT関連企業や出版社も
この文学フリマ、東京だけでももう37回開催されているようです。
興味深かったのは、IT関連企業や出版社も出展していたこと。
具体的には、Kindle(Amazon)やはてな、それにポプラ社や新潮社もブースを出していました。前者は、個人のコンテンツを自社の流通に乗せるための案内を出しているようでした。後者は、出展者各者との親和性での出展だったのでしょうか。
この辺についてはもうちょっとよく見てから分析が必要かも知れません。
文学フリマ、よくよく調べて考えるといろいろなことが言えそうです。
ともあれそれは本稿の手に余るので、またの機会に考えられればと思います。