NY金16日:テロ受けて一時急伸も、小幅高に留まる
COMEX金12月限 前日比2.70ドル高
始値 1,087.90ドル
高値 1,097.40ドル
安値 1,080.50ドル
終値 1,083.60ドル
週末のフランス同時テロ事件を受けて一時急伸したが、前日終値を小幅上回る水準で引けている。
13日の取引終了後にフランスで犠牲者が100人を超える大規模な同時テロ事件が発生したことを受けて、週明けのアジアタイムはリスク回避の動きが金価格を大きく押し上げた。欧州タイム入りの時点では一時1,097.40ドルまで値位置を切り上げ、前日比で+16.50ドルに達した。そこで欧米タイムに一段とリスクオフの動きが強まる展開が警戒されたが、実際には欧州タイム序盤にややリスク回避の動きが見られた後は、特に目立った混乱は見られなかった。今後はユーロ圏経済に対するダメージなどを慎重に見極める必要があるものの、テロを受けてのパニック的なリスク回避の動きが見送られたことが、その後の金相場の急反落を促している。欧米タイムは断続的に上げ幅を縮小し、概ねテロ発生前の値位置まで回帰して引けている。
大規模なテロは当然に金価格に対してポジティブである。第二、第三のテロが発生すれば、パニック的な動きが改めて広がるリスクもある。ただ、今回のテロは「週末」に発生したことで、多くの市場関係者が土曜日と日曜日の二日間にわたって情報を分析する時間を得たことで、大きなパニック状態に陥ることが回避された模様だ。仮にテロが1日前に発生していれば違った反応になった可能性が高いが、1,100ドル水準で当面の戻り高値を確認した格好になっている。
今回のテロを受けて欧州中央銀行(ECB)が12月に追加緩和に踏み切る可能性が高まったが、米金融政策環境に対しては大きな変化は生じない見通し。テロ直後の取引で欧米株が総じて底堅く推移したことは高く評価でき、このまま市場環境が安定化に向かえば、改めてドル高、米金利上昇、金上場投資信託(ETF)売りなどの動きを手掛かりに、下値模索の展開になる見通し。経済指標や要人発言などを確認しつつ、年初来安値1,072.30ドル割れを打診する展開が維持されよう。