NY金9日:ドル高一服で小反発
COMEX金12月限 前日比0.40ドル高
始値 1,089.10ドル
高値 1,094.90ドル
安値 1,087.40ドル
終値 1,088.10ドル
急激なドル高圧力が一服したことを受けて、ショートカバー(買い戻し)主導で小反発した。
前日は10月米雇用統計がポジティブ・サプライズになったことを受けて、早期利上げ観測の強化から急激なドル高連動で金相場は急落相場を迫られた。しかし、本日はドル相場が目立った動きを見せなかったことをもあり、金市場では含み益を拡大させた向きのショートカバーが入った模様であり、前日終値を挟んでの小動きに終始している。
12月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測織り込みが進む中、ドル高・米金利上昇の流れに変化は生じない模様。こうした中で、ドル建て金相場は厳しい相場展開を強いられる可能性が高い。ただ、既に年内利上げ観測が極めて高い確率で相場に織り込まれる中、利上げ着手でのドル買い材料出尽くしを予測する向きもあり、金市場でも強弱感が交錯し始めている。なお金上場投資信託(ETF)からの大規模な資金流出傾向が報告されるなど、地合は間違いなく悪い。ただ、ここからは利上げ着手の先を見据える必要があり、金相場のダウントレンドはペースダウンを迫られることになるだろう。
利上げ着手で材料出尽くしになるとは考えていないが、金利先物市場では既に年内利上げを7割前後の確率まで織り込んでおり、従来のように早期利上げ観測だけで急落するような地合ではなくなっている。投機マネーのドル回帰の動きが今後もドル建て金相場を押し下げると考えているが、改めて経済指標や要人発言などを確認しながらの慎重な展開を強いられる可能性が高い。徐々に、初回利上げ後の断続的な利上げ局面入りへの信認を高めていくことが要求されよう。
ドルインデックスは年初来高値更新を意識する価格水準に到達しており、金相場も年初来安値1,072.30ドル更新が打診される。改めて安値更新局面に突入できるか、ドル高の持続力が問われている。