最多出火原因は放火…出火原因の内訳などを確認する
2014年の出火原因トップは放火
火事はひとときでこれまでに築き上げたあらゆるものを言葉通り焼き払い、がれきに変えてしまう。この火災の出火原因などを消防庁の公開データ「火災の状況(確定値)」から確認していく。
最初に示すのは年ベースでの最新値にあたる2014年分の出火原因の内訳。最大値を示すのは放火で4884件、ついでたばこの4088件となった。
放火は年々その件数、全体に対する比率を減らしつつあるものの、今なお最大の件数にある。単純計算だが2014年は毎日13件ほど、放火による火災が発生していた計算になる。さらに「放火の疑い」まで含めると2割近く・8000件強にまで達する。
次いでたばこ。多分に不始末によるもので、こちらは4100件ほど。たばこの喫煙率の漸減もあり、件数・比率共に漸減しているが、上位陣にあることに違いは無い。さらにこんろ、放火の疑い、たき木と続く。
これを過去5年間について、動向把握をするため、各年の全体件数に占める比率と、単純に件数の積み上げとしてのグラフを生成したのが次の図。
件数比率で見ると直上で言及したように放火やたばこの不始末は多少の上下を繰り返しながらも、大よそ減少中。一方たき木などのように振れ幅が大きい出火原因も多く、全体数としてはやや大きな上下を繰り返しながら漸減の傾向にある。
また「その他」項目が3割を維持していることからも分かる通り、出火原因そのものは多様化しており、最初のグラフで示した細分化の項目一覧にすら収まらないような事案が多々あることがうかがえる。
犠牲者比率は高齢者が増加中
火災のうち住宅で発生したものに関して、その火災で命を落とした人の世代区分別割合が次のグラフ。
元々高齢者の数・全人口比は増加する傾向にあるのだが、それでもなお人口構成比以上に高齢者の割合が大きく、さらに猛烈な勢いで増加中なのが分かる。これは運動能力が低下しているなどで、逃げ遅れたり着衣が着火してしまうことを起因としていることに加え、高齢者の一人暮らし、寝たきりあるいはそれに近い状態の人が増加していること、そして高齢者の中でもより歳を取った人の数・割合が増加しているのも原因として考えられる。
火災はすべての宝物を一晩で奪う、非常に影響力の大きい災害。火がつきやすいものを外に置かないなどの配慮はもちろんだが、日常生活でも火の用心は欠かせない。また、お年寄りがいる世帯では寝たばこをしないよう心掛ける・うながすなど、さまざまなルール作り、万一の際の備えが必要。
火そのものは非常に便利なものだが、同時に大敵ともなりうる諸刃の剣。そのことを忘れないようにしよう。
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