住宅の空き家率は過去最高の13.6%(2019年公開版)
総務省統計局が2019年4月に発表した、2018年時点における住宅・土地統計調査(※)の速報集計結果によると、全国の空き家数は846万0000戸だったことが明らかになった。前回調査の2013年分と比較すると3.2%・26万4000戸増加している。
全国における総住宅数、空き家および空き家率の推移は次の通りとなる。
総住宅数は増加を示しているが、利用中の住宅戸数とともに空き家数も増加。利用住宅数以上に空き家数が増えているため、結果として空き家率は増加の一途をたどっている。
空き家の増加状況を詳しく見ると(グラフ化は省略)、賃貸用・売却用の空き家は詳細区分確認開始の1978年以降大きな増加を示していたが、ここ15年ばかりはその動きも鎮静化。売却用に関しては前回調査からむしろ減っている。また二次的住宅(いわゆる別荘や残業などで遅くなった時に寝泊まりする仮住まい)は前世紀末以降は横ばいで、「その他」区分が漸増している。この「その他」は転勤や入院などで居住世帯が長期にわたって不在の場合、立て替えのために取り壊し予定の住宅、そして区分判断が困難な住宅が該当する。
直近2018年における空き家区分内訳は次の通り。このうち「賃貸用住宅」「売却用住宅」は必要な人の手に渡れば居住可能な住宅であることから、合わせて空き家のうち54.4%は第三者が居住可能な住宅であるといえる。
空き家率は都市圏の方が低い。つまり都市圏の住宅の方が需要が高いことになる。
報告書でも指摘されているが、甲信地方や四国地方で特に空き家率が高い傾向が見受けられる。
多様な要素を考慮する必要があるが、概して人気のある地域ほど空き家率が低くなる現状を考えれば、沖縄県や関東圏の人気が高いことになる。
地域差はあるものの空き家率は経年で増加を示しており、空き家数も増えている。その内情はさまざまだが、数の上では住宅は供給過多な状態にあると見てよいだろう。もっとも単純な空き家率には上記の通り「二次的住宅」なども含まれていることから、概算的には13.6%(全国の空き家率)×54.4%(空き家のうち第三者が居住可能な住宅率)で、全住宅のうちおおよそ7%が「第三者が居住可能な意味での空き家」と見た方が無難かもしれない。
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※住宅・土地統計調査
5年毎に行われているもので、今回発表分は2018年10月1日時点のデータを計測したもの。約22万単位区・計約370万住宅・世帯を対象に、対象世帯に調査員が調査票を配布・後日回収する方式で行われている。今件における「空き家」とは、居住世帯が無い住宅のうち、建築中や一時現在者のみの住宅を除いたもので、賃貸用・売却用・二次的住宅・その他の類すべてが含まれている。
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