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若者の早食いは本当か?年齢階層別に見た食事の時間の実情と過去からの変化をさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
若者の早食いは本当なのか(写真:アフロ)

健康の観点では食事はゆっくりとよくかんで食べるのがよいとされており、当然時間はそれなりにかかることになる。一方でしたいこと、しなければならないことが増えている昨今では、食事の時間も惜しいからと、特に若年層の間では早食い傾向にあるとの指摘もある。食事時間の実情はどのような具合なのか、総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果から、その実情を確認する。

今調査では生活様式に関して「睡眠」「身の回りの用事」「食事」「通勤・通学」「仕事(収入を伴う仕事)」「学業(学生が学校の授業やそれに関連して行う学習活動)」「家事」「介護・看護」「育児」「買物」「移動(通勤・通学を除く)」「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」「学習・自己啓発・訓練」「趣味・娯楽」「スポーツ」「ボランティア活動・社会参加活動」「交際・付き合い」「受診・療養」「その他」の20に区分している。今回はこの中で「食事」の動向を確認する。具体的には「家庭での食事・飲食、外食店などでの食事・飲食。学校給食、仕事場での食事・飲食」が該当する。ただし交際のための食事・飲食は「交際・付き合い」に該当し、おやつなどの間食は「休養・くつろぎ」に分類される。

なお、いわゆる「ながら行為」による時間は含まれない。あくまでも主行動の時間であることに注意が必要。

まずは直近2021年の男女別・年齢階層別動向だが、おおよそ女性の方が食事時間は長い。とはいえ1日あたりの差異は数分程度。男性は20代後半から30代前半、女性は20代前半がもっとも短く、それより年齢が上がるに連れて少しずつ延びていく。

↑ 男女・年齢階層別食事の時間(週全体、1日あたり、時間:分)(2021年)
↑ 男女・年齢階層別食事の時間(週全体、1日あたり、時間:分)(2021年)

20代ぐらいでもっとも短くなるのは大学生活や就業してからまだ日も浅く、何かと多忙だったり、自分自身での食事作りが面倒で簡単なもので済ませてしまうからかもしれない。一人暮らしの人も多いのだろう(複数人数での食事は会話もあるため、必然的に時間は長くなる)。とはいえ30代前半までは大きな差異はなく、30代後半以降になると少しずつ延びる傾向にある。70代後半に入ると2時間を超え、最長時間の年齢階層は男女ともに80代前半。若年層と比べると1日あたり食事の時間が30~40分ほど長くなる計算。1日3食と仮定すると、1食あたり約30分だったのが約40分になるという具合である。

食事の時間に関して今回調査結果の2021年だけでなく、過去のデータを確認して比較したのが次のグラフ。年齢階層の区分変更が何度か行われており、今グラフでは直近の様式にあわせていることから、足りない部分は値が入っていない。そのため1986年と1991年では断片的な値しか反映されていない。

↑ 年齢階層別食事の時間(週全体、1日あたり、時間:分)
↑ 年齢階層別食事の時間(週全体、1日あたり、時間:分)

若年層が短く年を取るに連れて延びる傾向に変わりはないが、10代の食事時間が少しずつ延びているために最短時間の階層がずれていく傾向が見受けられる。直近の2021年では20代後半・30代前半が1時間22分で同時間の最短階層となっている。

20代前半までは昔と比べて今は少しずつ食事時間が延びる一方で、20代後半以降は逆にわずかずつだが縮む動きが確認できる(2021年分がイレギュラーな動きとなっているのは、新型コロナウイルスの流行で在宅時間が延びたのが影響しているのだろう。ただし中年層位の縮む動きは勢いがついている)。70代に入ると再び延びる傾向になることから、就業している人の食事時間が少しずつ短くなっているのかもしれない。

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※令和3年社会生活基本調査

国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。

調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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