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イスラエル 300キロ先の標的も爆撃できるAI搭載の自律型ミサイル「Sea Breaker」開発

佐藤仁学術研究員・著述家
Rafael Advanced Defense Systems提供

イスラエルの軍事企業のラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズは2021年6月に、AI(人工知能)技術を搭載した自律型ミサイルの「Sea Breaker」を開発したことを明らかにした。「Sea Breaker」は300キロ先の標的まで精確に攻撃を行うことが可能。軍の基地から発射され、300キロ先であっても標的を検知すると自律的に攻撃を行い、標的を爆破する。イメージ動画も公開している。

同社は「Sea Breaker」を第5世代の兵器と位置付けている。AI技術の発展によって、標的の認識力(Automatic Target Acquisition:ATA)、検知力(Automatic Target Recognition:ATR)が向上しており、精確に標的を判断して攻撃を行うことができるとのこと。

同社のCEOのヨハヴ・ハレバン氏は「Sea Breakerは長距離にある複雑なエリアや込み入った場所など様々な標的への攻撃に使用することができます。軽くてコンパクトなミサイルで、小さな海軍のボートなどにも搭載が可能です」とコメントしている。

AI技術の発展によって軍事でも積極的に活用されるようになってきている。イスラエルだけでなくアメリカ、ロシア、中国、インドなどでもAI技術を軍事に活用している。AIを搭載し、人間の判断を介さないで標的の人間を攻撃する自律型殺傷兵器が開発されようとしている。国連の安全保障理事会の専門家パネルでは、自律型兵器によってリビアで人間が殺害された可能性があると報告していた。

人間の判断を介さないで標的の人間を攻撃して殺傷することが非倫理的、非道徳的であることから国際NGOや世界30か国の政府、AI技術者らが自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。イスラエルは反対していない。

▼ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ「Sea Breaker」の紹介動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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