ウクライナ初の「神風ドローン」試験飛行成功:イラン製軍事ドローン「アラシュ2」に似ている
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。
ロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」でウクライナの軍事施設などへの攻撃を強めている。このような神風ドローンはロシア軍だけでなくウクライナ軍も攻撃に使用している。
ウクライナ軍が使用している神風ドローンは主に米国政府が提供した「Switchblade300」、ポーランド政府が提供した「WARMATE」、そして小型民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に突っ込んでいき爆発する"自作の神風ドローン"である。
そんななか、ウクライナで開発された初の神風ドローンの試験飛行に成功した動画が公開された。キーウの国立航空大学のセルヒー・ピプコ氏らが開発して発射台から神風ドローンが発射する動画を掲載していた。また同氏によるとTu-141 "Strizh" と呼ばれる神風ドローンはロシア時代に開発されたものだから"ウクライナ初"ではないとのこと。
いくつかのメディアではイラン製の攻撃ドローン「アラシュ2(Arash-2)」に形態が似ていると報じている。ロシア軍がウクライナ攻撃に頻繁に使用しているイラン製軍事ドローンのシャハドよりもかなり大きく見える。
具体的な使用開始時期や生産、コストなど詳細については明かされていない。また飛行試験を実施した場所もセキュリティの理由から開示していない。神風ドローンは標的に突っ込み爆発するので一回使用したら終わりで、基本的に再利用はできない。
▼ウクライナで開発された初の神風ドローンの試験飛行の様子
標的をめがけて爆発するタイプの攻撃ドローンは「Kamikaze drone(神風ドローン)」、「Suicide drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンの名前に「神風」が使用されるのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン(Kamikaze Drone)」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。今回のウクライナ紛争で「神風ドローン」は一般名詞となり定着している。ウクライナ語では「Дрони-камікадзе」(神風ドローン)と表記されるが、ウクライナ紛争を報じる地元のニュースで耳にしたり目にしたりしない日はない。
▼(参考)今回ウクライナで初めて開発された神風ドローンに似ていると報じられているイラン製の攻撃ドローン「アラシュ2(Arash-2)」