NY金16日:FOMC前に買い戻しが膨らむも、FOMCに対する反応は売り
NY金16日:FOMC前に買い戻しが膨らむも、FOMCに対する反応は売り
COMEX金2月限 前日比15.20ドル高
始値 1,060.30ドル
高値 1,077.90ドル
安値 1,060.70ドル
終値 1,076.80ドル
引け後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表を控えていたが、イベントリスクからショートカバー(買い戻し)優勢の展開になり、二桁の急反発になった。ただ、FOMC後は一時急落したものの切り返すなど不安定な動きを見せ、1,070ドル台前半と小幅安に留まっている。
アジア・欧州タイムは1,060ドル台前半から中盤にかけて揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入りを前に急伸した。特に目立った買い材料などは見当たらなかったが、FOMC後に材料出尽くしで金相場が急伸するリスクが警戒された模様。場中は為替がドル安気味に推移したこともあり、引けにかけてじり高の展開になった。
しかし、FOMC後は一時1,060ドル台前半まで急落するなど、更に上値を切り上げることに失敗している。その後は1,070ドル台に戻すなど大きな値崩れは回避されているが、現時点ではFOMCでの利上げを手掛かりに金相場のダウントレンドに終止符を打とうとする動きは限定されている。
FOMCでは、マーケットの想定通りに0.25%の利上げが実施された。声明では、「労働市場で今年著しい改善がみられた」と報告すると同時に、「インフレ率が中期的に目標の2%に向けて加速するとの妥当な確信を得た」と解説されている。当局者の2016年のPCEコア予想は9月時点の+1.7%から+1.6%まで引き下げられたが、GDPは+2.3%から+2.4%まで上方修正され、失業率も4.8%から4.7%まで改善されている。FF金利見通しの中央値は1.375%で9月時点と修正はなかったが、来年に0.25%の利上げが4回実施されることがメインシナリオとなっていることが確認されている。
全体的にサプライズ感は乏しい内容になっているが、米金融政策の正常化プロセス入りが確認される中、ドルは買いで反応している。なおドル買い・金売り材料の出尽くしとの評価が広がるリスクには注意が必要だが、少なくともFOMC後の最初の反応はドル買い・金売りとなっており、金相場はリスクイベントの一つを消化しつつある。
約10年ぶりの利上げとあってボラティリティが高まるのは当然だが、ドルに対する信認回復の大きな流れに変化がなければ、一時的な戻り圧力の有無との視点に留まろう。改めて1,050ドルの節目割れが打診される見通し。