「醤油ラーメンが食べたいが、味噌ラーメンも美味しそう。さてどちらを注文すべきか」

ラーメン店に行って何を注文するか迷うことは少なくない。

両方食べるとお腹いっぱいになってしまうから、どちらかを選択しなくてはならない。醤油を食べたが、後になって味噌にすればよかったと後悔したことのある人も多いだろう。

複数人で来た場合はいくつか別々のメニューを注文してシェアして食べることもあったが、コロナ禍以降なかなか厳しくなっている。

一方、食べている途中で薬味などを加える「味変」が人気だ。

博多豚骨ラーメンでは辛子高菜やクラッシュニンニク、紅ショウガなど、横浜家系ラーメンではニンニク、豆板醤、ショウガなど各店が味変のバリエーションを揃えている。

ラーメンの味自体を変える味変もある。

醤油ラーメンに味噌玉を溶いて味噌ラーメンに味変するといった手法である。

一杯で二つの味が楽しめてお得な感覚になるが、これにはひとつ問題点がある。塩分量が上がってしまうということだ。

先ほどの例でいうと、醤油ラーメンだけで成り立つ形で味を構成しているわけなので、この時点で塩分量は十分なはずであり、ここに味噌を加えてしまうと明らかに塩分過多になってしまうのだ。

塩分が増えるとスープのダシ感も飛んでしまうし、これはベストではない。

東京・高田馬場にある人気店「麺屋 宗」の店主・柳宗紀さんはそれを画期的な方法で解決した。

「味変で塩分量が上がってしまう問題を解決するのはなかなか難しく、これまで苦戦を強いられてきましたが、『発酵そみファ』で作った味噌玉で今回それを解決することができました」（柳さん）

柳さんのいう「発酵そみファ」とは“無塩味噌”のことである。

正確には塩分が入っていないと「味噌」とは表示できないので、塩分ゼロの大豆発酵食品となる。昨年の5月31日にプレスリリースされ、同年7月1日に出荷開始となった商品だ。

コロナ禍で「免疫強化」「腸活」への関心が増え、発酵食品は注目を集めている。味噌は大豆の発酵食品で体に良い成分がたくさん入っているが、現代人は塩分摂り過ぎのため、塩分ゼロで味噌を作ったのだという。

これを使えば、醤油ラーメンから塩分量を上げずに味噌ラーメンに味変することができるのだ。

醤油ラーメンに味噌の風味とコクだけをプラスできるので、味変には革新的な商品といえる。

醤油自体の塩味は既にあり、そこに発酵そみファの味噌玉を加えることで、しっかり塩味はキープする。結果、立派な味噌ラーメンに変身した。

減塩素材としてはもちろん、料理のコク出しや、スイーツの味噌風味などにも使えそうだ。

発酵そみファを開発した全農ビジネスサポートの担当者はラーメンでの可能性を大いに感じている。

「今回、柳さんに味変という革新的な用途を発見いただいたため、これを機に発酵そみファで味変ブームが来たら嬉しいです。また、コク出しにも使えるので、通常のスープにもお使いいただけます。

「ラーメン＝背徳的」というイメージもありましたが、そみファを使うことで、塩分を控えていた方など今までターゲットにしにくかったお客様にもアプローチできるのではと考えています」（全農ビジネスサポート 担当者）

これにより、味噌の量をたくさん使いながら塩分は控えめにした味噌ラーメンができる可能性もある。濃厚さを演出するために味噌の量を増やすことにより、塩分量がどうしても比例して増えていってしまう課題が解決しそうだ。

「発酵そみファ」の味噌玉を使った味変ラーメンは5月15日～5月23日で「麺屋 宗 高田馬場本店」にて1日限定10食で販売予定だ。まずは騙されたと思って、味変の未来を感じてみてほしい。

※写真はすべて筆者による撮影