コロナワクチン接種後死亡の被害認定100人を超える 厚労省、情報開示に消極姿勢
新型コロナワクチンの接種後死亡者の遺族が死亡一時金等を請求できる健康被害救済制度のもとで、厚生労働省の審査会が新たに15歳の男性を含む31人について、接種が原因で死亡したことを否定できないとして、救済認定をしていたことがわかった。6月26日、審査結果の資料を公表した。
これで、接種と死亡の因果関係が否定できないと認定された事案は計103件となった。死亡の被害認定が100件を超えたのは、新型コロナワクチンが初めて。
これまでのところ主要メディアは報じていない。
政府は高齢者等に追加接種を呼びかけているが、厚労省は健康被害の情報開示には消極姿勢のままだ。
(出所:厚労省サイト)
これまでにも、ワクチン接種に伴う健康被害は稀な頻度で生じることは避けられないため、医療費や死亡一時金等が給付されてきた。
厚労省の集計では、1977年以降の44年間で、接種による死亡と認定し、死亡一時金等が給付されたのは計151件。1年平均に換算すると4件未満だった。
コロナワクチン接種者の死亡一時金等の給付は2年間で100件を超えており、接種人口・接種回数の多さを考慮しても、異例の多さとみられる。だが、ワクチン種類別の健康被害認定件数のページには、なぜかコロナワクチンの認定件数だけ掲載されていない(厚労省サイト)。
厚労省が一般国民向けに作ったQ&Aサイトも、健康被害救済制度の説明は設けられているが、コロナワクチンの健康被害審査状況に関するページにはたどりつけないように作られている。
健康被害の審査を担当しているのは「疾病・障害認定審査会」。その公表資料によると、6月26日までに健康被害が認定されたのは合計2881件。死亡以外の疾病に伴う医療費給付が大半を占めている。
ただ、同一の被害者に対して「医療費・医療手当」の給付と「死亡一時金・葬祭料」の給付が認められた場合は2件とカウントされている。実際に被害認定を受けたのは、認定総数よりやや少なく、2800人前後とみられる。厚労省の担当者は「認定された被害者の実数は把握していない」と説明している。
死亡事案の申請・認定件数は非公開
厚労省は、審査会の資料で健康被害の認定総数を公表しているが、このうち死亡一時金・葬祭料の給付件数については公表していない(下の写真)。
コロナワクチンに関する過去の審査結果資料(43回分、3400件超)を手作業で集計すれば、死亡一時金等の認定件数を把握することは可能だ。筆者の集計では計103件となった。(最新の情報は筆者発行のニュースレター参照)
だが、厚労省の担当者は、筆者の事実確認の求めに対し「過去の資料を集計すればわかるが、資料に記載したこと以外は公表できない」として、現時点で103件であることを否定も肯定もしなかった。
厚労省の資料によると、コロナワクチンの被害救済申請の受理件数は7966件。現在も4600件以上の審査未了となっている。一方で、現在も毎月数百件ペースで新規の救済申請が受理されている。
厚労省は、受理件数のうち死亡事案(死亡一時金・葬祭料の請求)が何件なのかも明らかにしていない。
大坪寛子・厚労大臣官房審議官が4月18日、参議院内閣委員会で質問を受け、初めて「684件」と明らかにしたが、その後の最新の情報は不明だ。担当課は取材に対し「公表できない」と回答を拒んだ。ただ、現在少なくとも500件以上の死亡事案が審査未了となっていることは確実だ。
このように公表資料などをみても健康被害の審査状況は不明な点が多いが、副反応疑い報告制度に基づきワクチンの安全性について検討する別の審議会にも、情報が全く共有されていないことがわかった。厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)の担当課への筆者の取材で確認した。
担当職員によると、同部会の委員には副反応疑い報告制度と健康被害救済制度の違いについて説明したことはあるが(Q&Aサイト参照)、救済制度の審査情報について提供したことはないという。同審議会では最近、独自に「接種後健康状況調査」を委託事業として始めたが、ここでも「疾病・障害認定審査会」での審査情報は全く参照されていないようだ。縦割り行政の弊害の一つと言える。
新型コロナワクチンはこれまでに国内で1億人超が1回以上接種し、8600万人以上が3回以上接種している(首相官邸サイト)。
政府は現在、主に高齢者や基礎疾患を有する人を対象にした接種を呼びかけており、秋からそれ外にも対象を拡大する方針。高齢者や基礎疾患を有する人以外は、接種の努力義務の対象から外している。
(出所:厚生労働省)